2013 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病発症に関わるParkinのE3としての新たな役割の解明
Project/Area Number |
25860721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久住呂 友紀 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60398625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Parkin / パーキンソン病 / E3 |
Research Abstract |
ParkinはPINK1と協調して不良ミトコンドリアの処理において中心的な役割を果たしている。近年HHARIというParkinと同ファミリー (RING-In-between-RING)に属するE3は、本来はHECT型E3の特徴であるUb-チオエステル中間体を形成することが報告されたが、Parkinに関しては不明であった。本年度はまず、当研究室従来の実験系を用いてParkinのチオエステル形成の有無を検証した。Ub-チオエステル中間体は不安定であることから、まずParkin遺伝子のチオエステルを形成すると予想される部位を変換 (C431S) することによりUb-エステル中間体として観察できるようにplasmidを作成した。Parkin C431S導入細胞をCCCPという脱共役剤で処理後 (膜電位を低下させる既存の方法)、sampleにつきParkin抗体にてWBを行ったところ、Parkinバンドの上に新たなバンドが観察され、ParkinのUb-O-エステル形成が示唆された。同様のことは精製Parkin蛋白を用いたin vitro再構成系の実験でも確認された。次に、ParkinやPINK1の疾患関連変異体における中間体形成の有無を確認した。Parkin C431Sに患者変異を導入、または、Parkin C431Sと患者変異導入PINK1を共発現すると中間体を認めないことから、中間体形成はParkinson病発症のメカニズムに関わっていることが示唆された。更に、PINK1やParkinのリン酸化と中間体形成との関連も検証した。ParkinあるいはPINK1のリン酸化部位に変異を導入すると中間体形成を認めないことから、中間体形成はPINK1やParkinのリン酸化依存的であった。現在、新規知見を応用したPD モデルマウスの作成に着手しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Parkinがチオエステル中間体を形成するという今回のin vitro実験系での新たな知見はJournal of Biological Chemistryに論文掲載された。報告者はequally contributed authorsの一人として実験を中心的に進めてきた。さらに、本研究に関する学会報告も今年度は多数行っている。in vitroの実験は大部分今年度で終了しているため、当初の計画より進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のParkinがチオエステル中間体を形成するというin vitro での新規知見を応用したパーキンソン病 (PD) モデルマウス作りを今後も進めていく予定である。現在のところ、顕著な表現型を示すPDモデルマウスの報告はない。なぜマウスでは上手くいかないのかは明らかではないが、PINK1やParkin ノックアウトマウスでは表現型を示さない。一部の変異型Parkin を過剰発現したショウジョウバエではドーパミンニューロンの変性、飛翔筋のミトコンドリア異常をきたすことが報告されており、変異型Parkin がdominant negative に作用している可能性がいわれている。今回のin vitroの実験でユビキチン-O-エステル形成が著明に障害されていた変異型Parkinを過剰発現したマウスの作成を進行中であり、Parkinの中間体形成がin vivoでも重要な役割を果たしているか、PD発症に重要であるかを検証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が予想より早く進行しており、当初の予定より施行錯誤しなければならない点が少なく、実験回数も減り、結果として次年度使用額が生じた。 現在研究は当初の予想以上に進行しているため、さらに研究をすすめるべく、次年度はPDモデルマウスの作成や、さらなる生化学的手法を用いた分子機構の解明をめざしているため、さらにお金がかかることが予想される。
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Research Products
(4 results)