2014 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答がインスリン抵抗性および動脈硬化形成に果たす役割の解明
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25860737
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高 俊弘 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70455781)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / インスリン抵抗性 / 小胞体ストレス / WFS1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインスリン抵抗性や動脈硬化の血管合併症の発症に影響を果たす小胞体ストレス応答の役割を検討をや可能な新規治療方法の開発と目的にする。 WFS1欠損マウスを用いた解析から高コレステロール食を負荷した後、動脈硬化モデルや高脂肪食を負荷したインスリン抵抗性モデルの解析からWFS1タンパクが動脈硬化とインスリン抵抗性の発症・進展に及ぼす役割を検討する。 具体的に 1;野性型とWFS1欠損マウスに高脂肪食を負荷し、代謝パラメータを測定し、糖負荷及びインスリン負荷試験など代謝関連実験を行う。肝臓でのインスリン抵抗性の程度を評価し、代謝にかかわる種々の分子の発現や小胞体ストレスに関する分子遺伝子の変化を解析する。 2;WFS1欠損マウスがカフ傷害による炎症反応性血管内膜肥厚の検討を行い、また血管肥厚部位での遺伝子発現の検討を行う。粥状動脈硬化モデルであるアポE欠損マウスを掛け合わせ、また高コレステロール血症を背景にした粥状動脈硬化の進展においてWFS1の役割について検討を行う。 3;骨髄移植実験を行い、血球細胞と血管細胞でのWFS1が動脈硬化についての影響についてけんとうする。骨髄移植血管炎症性内膜肥厚と高コレステロール食による粥状動脈硬化の進展について定量及び評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究資金の支持の下で、研究に必要な試薬準備やマウスなどの飼育が順調に進み、事前計画をしっかり行い、研究計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体ストレス関連タンパクWFS1が小胞体ストレスシグナールに及ぼす経路について検討を行う。 1)骨髄移植を用いた反応性内膜肥厚と粥状動脈硬化の検討;6週齢前後の野生型マウスとWFS1欠損マウスを用いて骨髄移植を行う。具体的にはドナーとレシピエントの組み合わせによって、全身にWFS1を有する、骨髄のみWFS1を有する、骨髄のみWFS1を欠損する、全身にWFS1を欠損する4群のマウスを作成する。またアポE欠損マウスを掛け合わせたモデルに同様に骨髄移植を行う。これらのマウス大腿動脈のカフ傷害による内膜肥厚と、高コレステロール食を負荷しながら一定期間飼育し、大動脈の粥状動脈硬化進展における血球細胞(マクロファージ)と血管細胞(内皮や平滑筋細胞でのWFS1の役割を解析する。 4)培養細胞におけるsiRNAを用いたWFS1ノックダウウン及びアデノウィルスベクタによる過剰発現の検討;血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージの各培養細胞に対して、WFS1のsiRNAを用いてWFS1蛋白のノックダウンやアデノウィルスベクタによるWFS1過剰発現を試みる。in vivoでの動脈硬化病変の解析は現象・結果を主に解析しているのに対して、本検討から、動脈硬化巣に存在する各種細胞におけるWFS1による小胞体ストレス・酸化ストレス応答などへの効果を個別に直接解析し、in vivoの実験で認められた動脈硬化促進効果のメカニズムを解明できると思われる。
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