2013 Fiscal Year Research-status Report
脂肪蓄積に機能する新規内因性リガンドの探索と分子機構の解明
Project/Area Number |
25860739
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
與五沢 里美 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (60392437)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 肥満 / 糖尿病 / 脂肪蓄積 / 脂肪細胞 / TGFb |
Research Abstract |
これまで私たちは、遺伝子変異マウスを用いた解析から新規脂肪蓄積遺伝子ALK7を見出した。TGFβ受容体ファミリーの一つであるALK7は、成熟脂肪細胞に強く発現していることから、成熟脂肪細胞における機能を解析した。その結果、ALK7は過栄養状態において脂肪分解酵素(リパーゼ)遺伝子発現を抑制することにより、余分なエネルギーを脂肪細胞に蓄積させる作用があることがわかった。このようなALK7シグナルが長期継続すると、インスリン抵抗性や慢性炎症状態を引き起こすことが考えられる。ALK7シグナルを抑制できれば肥満症やそれに伴う代謝異常の改善につながると考えられるが、ALK7シグナルを活性化するリガンドは解明されておらず、その抑制方法も未だ不明である。 本研究では、高脂肪食負荷および肥満状態においてALK7シグナルを活性化する新規内因性リガンドの探索を行った。初めに高脂肪食負荷および糖尿病・肥満モデルマウスより単離した代謝系組織におけるTGFβリガンドファミリーの網羅的発現解析を行った。その結果、対照マウスに比べ、高脂肪食負荷および肥満状態で強く発現誘導される遺伝子4種を同定した。これら遺伝子は全て脂肪組織で強く発現誘導していた。次に、免疫学的手法を用いて脂肪組織中の間質血管細胞群(SVF)からマクロファージ、T細胞などの免疫系細胞などを分離し、発現細胞を調べた。その結果、これら遺伝子は脂肪細胞、マクロファージに発現していることがわかった。以上のことから、同定されたTGFβリガンドファミリーが、脂肪細胞、マクロファージにおいて、新規リガンドとして機能する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、(1)網羅的発現解析から、高脂肪食負荷・肥満状態において強く発現する新規リガンド候補をいくつか同定した。(2)それら遺伝子は、脂肪組織中の脂肪細胞、マクロファージにおいて発現していることがわかった。(3)また、これらリガンドのリコンビナントタンパク質を用いて、in vitroルシフェラーゼアッセイによりALK7シグナルを活性化するか検討中である。従って、本研究はおおむね順調に研究計画を遂行していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.新規ALK7リガンドの同定 (1)網羅的発現解析から、リガンド候補として同定されたTGFβファミリーのリコンビナントタンパクを用いて、免疫沈降実験により、ALK7との結合も調べる。(2)ルシフェラーゼアッセイを用いたin vitro実験により、ALK7シグナルを活性化するか検討する。(3)リコンビナントタンパク質を3T3-L1脂肪細胞やマウス脂肪細胞に振りかけ、リパーゼ遺伝子発現を調べる。必要に応じてALK7など受容体を過剰発現させる。 2.In Vivo解析 ALK7リガンドの効果を個体レベルで解析する。(1)TSOD 及び正常マウスにリコンビナントタンパク質を投与し、ALK7シグナルの活性化、リパーゼ発現、脂肪量を調べる。(2)マウス個体レベルでの耐糖能、インスリン抵抗性、血中パラメーターなどを調べ、in vivoにおけるALK7シグナルの生理的意義を解明する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、主に、培養細胞を用いたin vitro実験とマウス脂肪組織からの細胞分離実験を行い、おおむね順調に条件検討などを進めることができたため、当初の予定よりも使用額を少なく抑えることができた。 次年度には、計画している動物実験において、細かな検討を必要とするため、本年度の未使用額を試薬・器具などの物品費に使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)