2013 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴシン-1-リン酸による新規インスリン抵抗性改善機序の解明
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25860740
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔵野 信 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60621745)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1-リン酸 / アポ蛋白M / インスリン抵抗性 / インスリン分泌 |
Research Abstract |
多機能性生理活性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)、およびそのHDL上の輸送体、かつ代謝調節因子であるアポ蛋白M(ApoM)の糖尿病、特にインスリン抵抗性との関連について検討し、以下の結果を得ている。 1)ApoMの過剰発現により、通常食マウス、高脂肪食負荷マウス、db/dbマウス、いずれのマウスにおいても、血漿および肝臓中のS1Pが増加した。高脂肪食負荷マウス、db/dbマウスでは、インスリン抵抗性がApoMの過剰発現により改善していた。これらの作用はS1P1, 3受容体阻害薬によって部分的に阻害された。また、臓器別には、特に、肝臓、骨格筋のインスリン抵抗性が改善していた。さらに、ApoM群では、肝臓の糖新生が抑制されていた。一方、通常食マウスでは、インスリン感受性には相違が認められなかったが、ApoM群にて、インスリン分泌が増強され、この効果はS1P1, 3受容体阻害薬によって阻害されることがわかった。 2)マウスモデルを用いて糖代謝関連因子のApoM, S1Pに対する影響を検討したところ、高脂肪食負荷、ストレプトゾトシン投与にてApoM, S1Pが増加していた。培養細胞を用いた検討では、脂肪酸投与にてApoMが増加し、一方、インスリン投与、培養液中からのグルコース除去によってApoMが低下することがわかった。 以上の結果よりApoMがS1Pを増やすことにより、インスリン抵抗性を改善させ、またインスリン分泌を増強させる可能性が示唆された。また、糖代謝関連因子のApoMに対する影響を考えると、インスリン絶対的不足、および内臓脂肪蓄積によるインスリン相対的不足の病態において、肝臓はApoM産生を増やすことにより、末梢臓器におけるインスリン感受性を亢進、および、膵β細胞のインスリン分泌能を増強させることにより、糖代謝の恒常性維持に寄与していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に終わらせる予定であった、様々な糖尿病マウスモデルを用いたスフィンゴシン1-リン酸の糖代謝に対する影響の解析が順調に終了しており、おおむね当初の計画通りに進んでいる、と考えられる。 一方、平成26年度に用いる予定であるApoMに対するshRNAアデノウイルスベクターの作成は、うまくいかなかった点が、計画通りに行かなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の予定通り、in vitroにおけるApoM, S1P, S1P受容体のインスリン抵抗性改善作用への関わりについての検討を行う予定である。 また、前述のとおりApoMに対するshRNAアデノウイルスの作成が難航しているため、in vivo siRNA導入システムを用いて、ApoMの発現低下による、糖代謝への影響の検討を行う予定である。 また、当初の予定にはなかったが、ApoM過剰発現によるS1P増加により、通常食マウスにてインスリン分泌能を亢進させることがわかったため、STZ誘発糖尿病マウス、NODマウスといった1型糖尿病モデルマウスにおいて、ApoM、S1Pの糖代謝に対する影響の検討も行う予定である。
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Research Products
(7 results)