2015 Fiscal Year Annual Research Report
飢餓状態下の生体防御反応におけるオートファジーの生理的役割の解明
Project/Area Number |
25860746
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
近藤 基之 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (60569052)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / ケトン体 / 飢餓応答 / ケトン体新生 / 糖新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
飢餓時に脂肪組織から放出され肝臓や腎臓に蓄積した脂肪酸が糖やケトンに変換される飢餓応答過程において、オートファジーとの関連・役割を解明する目的で研究を進めた。脂肪組織から放出された脂肪酸は肝臓と腎臓において一旦中性脂肪として蓄積され、またこれら臓器でも骨格筋同様にオートファジーが活性化していた。L-Aminocarnitineを投与しミトコンドリアへの脂肪酸移動を阻害したマウスを絶食させたところ、阻害剤なしのマウスに比べて有意な血糖低下を認め、その際のケトン産生を見てみると阻害剤投与群で明らかにケトン産生が低下したことから、絶食応答におけるケトン・グルコース産生には、脂肪酸のβ酸化が重要であり、脂肪酸が生命維持にとっての重要なエネルギー供給源となることが示唆された。さらに、全身のオートファジー不全をきたすLamp2欠損マウス、Atg5遺伝子ヘテロ欠損マウスでは飢餓時のケトン産生が有意に減少した。このケトン合成不全における肝臓、腎臓におけるオートファジー不全の役割を検討するため、Atg5遺伝子に対する肝臓特異的、筋肉特異的、腎近位尿細管細胞特異的、さらに肝臓+筋肉特異的及び、肝臓+近位尿細管細胞特異的ダブル欠損マウスを作製した。筋肉及び腎近位尿細管細胞特異的At5欠損マウスでは飢餓時ケトン産生は障害されなかったが、肝臓特異的Atg5欠損マウスでは部分的なケトン産生が障害され、肝臓+近位尿細管細胞特異的ダブル欠損マウスでは更なるケトン産生の低下が確認された。一方、何れのマウスも飢餓時の糖新生に影響を及ぼさなかった。オートファジー機構は飢餓時のケトン産生に必須の分子機構であること、肝臓がその大部分の役割を担っていること、腎近位尿細管細胞にも潜在的なケトン産生能が存在することが明らかとなった。本研究により、哺乳類オートファジーの飢餓応答機構の新たな知見が示された。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Mammalian autophagy is essential for hepatic and renal ketogenesis during starvation2016
Author(s)
AyanoTakagi, Shinji Kume, Motoyuki Kondo, Jun Nakazawa, MasamiChin-Kanasaki, HisazumiAraki1, Shin-ichiAraki, Daisuke Koya, Masakazu Haneda, TokuhiroChano, Taiji Matsusaka, Kenji Nagao, YusukeAdachi, LawrenceChan, Hiroshi Maegawa, Takashi Uzu
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 18944
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant