2013 Fiscal Year Research-status Report
新規糖尿病治療薬としてのEpac2A活性化化合物の同定
Project/Area Number |
25860749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菅原 健二 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70645217)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Epac2A / インスリン分泌 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究では新規糖尿病治療薬開発に向け、Epac2Aを標的とした活性化化合物の同定を目的としている。平成25年度は主に、in silicoスクリーニングによりEpac2A活性化化合物と期待される候補化合物を入手し、インスリン分泌増強効果を指標とした一次スクリーニングにより化合物を選別することを主な目的とした。 1.in silicoスクリーニング Epac2A活性化効果が明らかにされているcAMPやスルホニル尿素薬をクエリーとして、Daylight fingerprintを用いた類似構造検索を行った。また、既存の経口医薬品に共通してみられる化学的な特性をまとめたリピンスキーの法則でフィルタリングをかけ、さらにスルホニル骨格を有する化合物はSUR1への作用が予測されるため、この段階で除外した。結果、約700万化合物からなる市販で入手可能な化合物データベースから、約170種類の化合物を候補化合物として入手した。 2.一次スクリーニング 化合物によるEpac2A活性化効果の検証には細胞を用いた複数回の実験が必要であり、ハイスループットによる解析が困難である。そこで、まず膵β細胞株MIN6を用い、インスリン分泌増強効果を指標に一次スクリーニングを行った。その結果、約170種類の化合物のうち、15化合物で高いインスリン分泌増強効果を示すことが明らかとなった。また、そのうち9化合物は低濃度グルコース条件下では分泌増強効果を認めず、分泌増強効果のグルコース依存性が示唆されたことから、これら化合物のEpac2A活性化効果が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は当初の計画通り研究が遂行可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究計画に従って研究を遂行する予定である。 1.候補化合物によるEpac2A活性化効果の検証 一次スクリーニングによってインスリン分泌増強効果を認めた約15化合物に関して、FRET実験によりEpac2A活性化効果を検証する。具体的にはEpac2A FRETセンサーを発現させたMIN6を用いて、化合物処置によるFRET変化を観察する。また、Epac2Aは低分子量G蛋白質であるRap1の活性化を担うことから、化合物処置によるRap1の活性化を、GTP-Rap1アッセイにより比較検討する。さらに、Epac2A欠損マウスから単離した膵β細胞や膵島においてインスリン分泌促進効果を調べ、化合物によるインスリン分泌増強効果がEpac2Aを介しているか確認する。 2.化合物によるインスリン分泌増強効果の検討 MIN6細胞において化合物処置によるインスリン分泌効果を再検証するとともに、単離膵島やマウス膵灌流実験でも分泌増強効果を確かめる。さらに、化合物をマウスに投与し、経口グルコース負荷試験において血糖改善効果や血中インスリン濃度の推移を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究計画では、Epac2A化合物同定の第一段階としてin silicoスクリーニングにより、市販化合物データベースより候補化合物を300種類入手する予定であった。しかし、実際入手可能であった化合物は170化合物であり、平成25年度に予定していた一般実験試薬に係る費用が低くなったためである。 in silicoスクリーニングのフィルタリングの設定を再度調節し、さらに約130種類の候補化合物を入手する予定であり、次年度使用額は平成25年度研究計画に沿った費用とする予定である。 翌年度分として請求した助成金は研究計画通り平成26年度研究計画に従い使用する。
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