2014 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーとヒト膵島アミロイド蛋白を中心とした糖尿病発症機序の解明
Project/Area Number |
25860758
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小宮 幸次 順天堂大学, 医学部, 助教 (50385077)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / オートファジー / 膵島アミロイド蛋白 / 膵β細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討においてヒトIAPPによる膵β細胞からのIL-1β産生亢進が認められなかった。そこで追加の検討としてIL-1受容体抗体によるIL-1β阻害実験を行った。ヒトIAPPによるオートファジー不全膵β細胞株(APKDβ)の増殖抑制はIL-1受容体抗体により阻害されなかった。膵β細胞からのIL-1βがオートクラインで関与する可能性は低いと考えられた。既報において膵β細胞より分泌されたヒトIAPPがマクロファージからのIL-1βの分泌を促進すると報告されており、マクロファージから分泌されたIL-1βが膵β細胞障害を引き起こすかの検討を行った。IL-1βをAPKDβに投与しても膵β細胞株の増殖抑制は認めらず、我々の系においてオートクライン・パラクラインの両面からIL-1βの関与は低いものと考えられた。APKDβにヒトIAPPペプチドを負荷した際にAKTおよびERKのリン酸化の抑制が認められた。またヒトIAPPペプチドによるAPKDβの増殖抑制を評価した際に増殖因子としてグルコースおよびインスリン負荷を行っていたため、AKTおよびERKの上流としてインスリンシグナルの関与を考慮した。APKDβではヒトIAPPペプチドによりインスリン受容体のリン酸化の抑制が認められた。追加の検討としてヒトIAPPノックインマウスの膵島を単離しインスリンシグナルの評価を行った。ヒトIAPPノックインマウスの膵島では野生型マウスと比較して、インスリンとグルコースによるインスリン受容体のリン酸化が有意に抑制されていた。ヒトIAPPペプチドによるAPKDβの増殖抑制のメカニズムとしてインスリン受容体レベルにおけるインスリンシグナル抑制の関与が示唆された。今後、ヒトIAPPがインスリンシグナルを抑制するメカニズムの検討を行い、ヒトIAPPが膵β細胞障害を引き起こすメカニズムの一端を明らかにしていく。
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