2014 Fiscal Year Research-status Report
副腎髄質の発生分化における副腎皮質由来のΔ5ステロイドの役割の検討
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25860764
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
滝島 茂 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (70648146)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 副腎髄質 / 副腎皮質 / Δ5ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎髄質のモデルとして、神経芽細胞腫由来のSK-N-BE細胞を用い、Δ5ステロイドの作用について、in vitroで検討をした。 その結果、細胞増殖については、Δ5-17OHPが有意に10-20%上昇をさせ、一方DHEAは40-50%有意に増殖を抑制した。これらは、Δ5ステロイドが神経系細胞の分化増殖になんらかの影響を与えることを示唆しているが、一方その効果はΔ5ステロイドの種類によって変動することが示された。 次に神経細胞分化のマーカーとされる複数の遺伝子(TAU, MAP2, DRD, Laminin, Synaptophysin, Nestin, Neurogenin, B3-Tublin) についての発現レベルの変動をRT-PCR法で定量解析を行った。その結果、Δ5-17OHPによりNestin、B3-Tublin、Laminin、Synaptophysinが上昇、またDHEAにより、TAU、Laminin、Nestin、Neurogeninが上昇していた。 これらのデータは、Δ5ステロイドが分子発現レベルで多彩な制御を神経系細胞に対して行っていることを示唆している。特にDHEAの神経系細胞増殖抑制作用は、生体内における21-水酸化酵素欠損症での副腎髄質発生障害の主な要因の一つになると考えられる。 今後は21-水酸化酵素欠損症の病態を解明すべく、より病態に則した形でのin vitro, in vivoでの見当を行って行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroの見当ではSK-N-BE細胞を用いた検討でDHEAの細胞増殖抑制作用が示され、今後の研究(Δ5ステロイドの副腎髄質発生への影響)へとつながるデータが得られたと考えている。ただin vivoの解析ができておらず、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは副腎髄質の発生におけるΔ5ステロイドの影響をin vitroで検討、分子レベルでの機構の解明に努める。併行してSf1ノックアウトマウスの解析の有用性について、in vitroのデータから検証を行い、必要に応じて解析を行うか検討していく
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Causes of Carryover |
当初予定していたマウスの輸入およびその経費が、マウスの輸入に時間がかかっているため、できておりません。しかしながら、現在in vitroのデータで当初の研究目的を説明し得る現象を発見しており、今後そちらの解明を進める可能性があります。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の如くin vitroのデータをもとに分子機構についてより詳細に検討を加えて行く予定です。そのための経費として、今後抗体の購入など、多くの経費がかかることが予想されます。
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