2015 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質の発生分化における副腎皮質由来のΔ5ステロイドの役割の検討
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25860764
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
滝島 茂 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 非常勤講師 (70648146)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 副腎髄質 / Δ5ステロイド / 副腎 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎は発生学的に全く由来の異なる、内側の髄質(adrenal medulla)と、それを取り囲む外側の皮質(adrenal cortex)からなっている。 副腎皮質は中胚葉性の細胞由来で、副腎髄質細胞の起源は神経提由来であるが、交感神経系を支配するカテコールアミンを分泌する内分泌細胞に分化しているという特長をもつ。以前より副腎髄質の発生、分化に副腎皮質の存在が必要であることが知られていた。これらの報告は主にGlucocorticoid作用によるものと理解されていた。一方、胎児副腎とよばれる未分化の副腎皮質では生体内に必須であるコルチゾルよりも中間代謝産物であるΔ5系ステロイド産生に有利に働く。体内におけるΔ5ステロイドの明確な役割は明らかでなく、その生理的意義は乏しいと考えられている。しかしこれらの胎児副腎の機能の偏りはΔ5系ステロイドがなんらかの形で胎内の発生に重要な役割を果たしている可能性を示唆する。以上を踏まえ、本研究では、Δ5ステロイドの副腎髄質発生にかかわる機構についての解明を目的とし、その検討を行った。 以上をふまえ、まず褐色細胞腫由来の細胞におけるΔ5ステロイドの影響を調べたところ、SK-N-BE細胞において、Δ5ステロイドであるDHEAがその増殖能を量依存的に抑制することが判明した。他のプレグネノロン、17-OHプレグネノロンなどは変化がなかった。これらからはΔ5ステロイドがむしろ副腎髄質の形成には抑制的に働く可能性が示唆された。21ー水酸化酵素欠損症では副腎髄質の形成が障害されている可能性が示唆されているが、その要因として21水酸化酵素欠損症でみられるΔ5ステロイド過剰が要因になっている可能性が考えられた。
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