2013 Fiscal Year Research-status Report
BMP-4に着目したメラトニン受容体刺激によるACTH/PRL分泌抑制機序の検討
Project/Area Number |
25860768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山内 尚子 (塚本 尚子) 岡山大学, 大学病院, 助教 (90601302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メラトニン / 下垂体 / BMP / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、メラトニンおよびその受容体アナログを用い、BMP-4によるACTH調節への影響に着目して下垂体ホルモン制御の可能性を検証した。 [1] コルチコトロープ細胞において、CRH(100nM)刺激下・非刺激下でMel/TAKの濃度勾配処理下における培養液中のACTH分泌量を測定。刺激後の培養においては、血清の影響を避けるために、無血清の低血清培地にて培養した。培養は24時間継続し、その間のMel/TAKによるACTH産生に対する効果を検討したところ、CRH誘導性のACTH分泌を濃度反応性に抑制した。[2] realtime-PCR法によりACTHの前駆体であるPOMC転写に対するMel/TAKの影響を検討すると、同様に、CRH誘導性のPOMCmRNAの抑制が認められた。[3]コルチコトロープ細胞におけるメラトニン受容体の発現と、BMP-4添加による影響をPCR法にて検討したところ、BMP-4によりMT1受容体の発現増強が認められた。[4] realtimePCR法により、BMP受容体に対するMel/TAKの影響を検討すると、BMP target geneであるId-1 mRNAの発現増強も、メラトニン受容体刺激によってさらに増強が認められた。[5]細胞内シグナルに対するMel/TAKの影響をウェスタンブロッティングにて検討したところ、メラトニン受容体刺激により、AKT・ERK・SAP/JNKのリン酸化が増強されたが、p38には影響を与えなかった。そこでMAPK・AKT阻害剤を用いての検討も行ったが、AKT阻害剤であるSH-5の添加によってのみId-1 mRNA発現の抑制が有意に認められ、さらにメラトニン受容体刺激によるCRH誘導性POMCmRNAの抑制は、SH5を添加により解除されることから、メラトニン受容体シグナルとして、AKT経路が関与していると考えられた。よって、コルチコトロープ細胞においてMT1受容体活性化はAktを介してACTH分泌を抑制し、BMP-4と相互協調的にACTH分泌を調節する新たな機序が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メラトニンおよびその受容体アナログを用いて、コルチコトロープ細胞を用いた研究を行い、検査実績の概要にも示した通り、メラトニンやその受容体アナログによるMT1受容体活性化はAktを介してACTH分泌を抑制し、BMP-4と相互協調的にACTH分泌を調節する可能性が示唆された。この結果をまとめ、学会発表及び論文作成に至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
概日リズムを司る時計遺伝子は、睡眠・覚醒だけでなくホルモンの律動分泌にも関わっているとされている。ヒト下垂体前葉にはPer、Cry、Clock、Bmalの発現が認められ、Clock蛋白はACTHやFSHと共発現していることが最近報告されていることから、前年度の結果をふまえ、BMP-4とメラトニンによる時計遺伝子の調節機構についてさらに研究をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究の達成度はおおむね順調に進展しており、実験に使用する器具・試薬などを効率よく使用できたため、次年度使用額が生じた。初年度の結果をふまえ、下記使用計画に基づき計画的に次年度使用額を使用する。 ACTH産生能を有するマウスコルチコトロープ細胞とPRL産生能を有するラットラクトとロープ細胞を用い、メラトニンとBMP-4の影響に着目して、ACTH/PRL産生能と時計遺伝子の発現パターンとの関連について検討する。細胞を24時間precultureし、 serum-free条件で試薬を加え、3-48時間培養し、total RNAをTRIzolを用いて抽出。抽出したRNAをRT反応し、mRNAレベルはリアルタイムPCRで定量し、各データはRPL19発現量で標準化し検討。ソマトトロープ細胞においても同様の検討を行う。 上記結果をふまえ、さらにウェスタンブロッティングやSiRNAによる検討を追加し、ACTHとPRLの日内変動について時計遺伝子の発現変動の関与と、BMP-4・メラトニンによる調節を受ける可能性について検討を行う。
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[Journal Article] Mutual interaction of kisspeptin, estrogen and bone morphogenetic protein-4 activity in GnRH regulation by GT1-7 cells.2013
Author(s)
Tomohiro Terasaka, Fumio Otsuka, Naoko Tsukamoto, Eri Nakamura, Kenichi Inagaki, Kishio Toma, Kanako Ogura-Ochi, Christine Glidewell-Kenney, Mark A. Lawson, Hirofumi Makino.
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Journal Title
Molecular and Cellular Endocrinology
Volume: Vol.381
Pages: 8-15
DOI
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