2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗β2-Glycoprotein I抗体による炎症性血栓形成機序の解明
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25860774
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 久子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, その他 (60615342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | B2GPI / 補体 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
Beta-2-glycoprotein I(B2GPI)は抗リン脂質抗体症候群(Anti-phospholipid syndrome: APS)の主要抗原である。B2GPIの生理的意義は近年広く検討されている。申請者はこれまでB2GPIとその分解産物であるnicked B2GPIが血管新生抑制効果を有することを明らかにした。本検討では、抗B2GPI抗体による補体活性作用とそれに伴う炎症性の血栓形成機序を解析し、APSや不育症の血栓治療へつなげることを目的とした。平成26年度は抗B2GPI抗体の血管透過性への影響。血管内皮細胞のVE カドヘリンのエンドサイトーシスを解析する為、抗VE カドヘリン抗体を用いて蛍光免疫染色により定量を行った。その結果、B2GPIの血管透過性およびVEカドヘリンエンドサイトーシスへの影響は強いものではなかったが、抗B2GPI抗体を添加すると血管透過性およびエンドサイトーシスが亢進した。続いて抗B2GPI 抗体によるC3b のアポトーシス細胞接着への影響を検討した。C3b はアポトーシス細胞の細胞膜に結合しオプソニン化し食細胞に取り込ませる作用を有する。検討の結果、既報の通りB2GPI 存在下ではC3b のアポトーシス細胞への接着が促進された。さらに抗B2GPI 抗体存在下では促進効果が増強する傾向が認められた。さらに、抗B2GPI抗体のマクロファージによるアポトーシス細胞の貪食への影響についてRAW264.7細胞を用いて検討した結果、抗B2GPI 抗体存在下ではマクロファージの貪食能の変化は亢進する傾向が認められた。
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