2013 Fiscal Year Research-status Report
純粋巨核球前駆細胞の同定および巨核球造血シグナル制御の解明
Project/Area Number |
25860779
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横山 泰久 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70512820)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 巨核球前駆細胞 / 巨核球分化 |
Research Abstract |
巨核球・血小板分化経路は,造血幹細胞(HSC)から骨髄球系共通前駆細胞(CMP)を経て,巨核球・赤血球前駆細胞(MEP)へと分化した後,最終的に成熟巨核球・血小板へと分化するモデルが提唱されてきた。また、純粋な巨核球前駆細胞のprospectiveに同定する試みはいまだ成功していない。我々は、成熟巨核球マーカーであるGPIbα(CD42b)はCMP分画の一部に発現していること、GMP・MEPには発現していないことを見出した。cKit(+)Sca1(-)Lin(-)CD34(+)GPIbα(+)分画(以下、34α+細胞)は、MEPとは異なり赤血球への分化能を持たず巨核球のみに分化することをすでにin vitroで示しており、34α+細胞は新規の巨核球前駆細胞(MKP)集団である可能性を考えた。 (1)34α+細胞が純粋なMKPであることをin vivoにおいて示すため、緑色蛍光タンパク質をユビキタスに発現するマウスから34α細胞を分離し、放射線照射を行ったマウスに移植して分化能をみたところ、CMP・MEPを移植した場合と異なり、34α+細胞は巨核球・血小板産生のみを示し他の骨髄球系細胞には分化しなかった。この結果、34α+細胞は巨核球のみにしか分化能を持たない、純粋巨核球前駆細胞であることがin vivoでも示された。 (2)34α+細胞ではNotchシグナルの下流に位置するHes1の発現が上昇していた。巨核芽球性白血病由来の細胞株であるUT7/TPOは巨核球への分化が可能な細胞であるが、C末を削除したHes1タンパクによってドミナントネガティブにNotch-Hes1シグナル経路を抑制すると、UT7/TPOからの巨核球分化はが抑制された。このことから、巨核球分化とNotchシグナル経路の関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
34α+細胞が純粋巨核球前駆細胞であることをin vivoで証明することについては、計画書に示した通り、緑色蛍光タンパク質を発現するマウスを用いた移植実験により、34α+細胞が巨核球系列のみに分化し他の骨髄球系列の細胞には分化しないことを、MEPなどの他の分画と比較しつつ証明することができた。 巨核球分化とNotchシグナルの関連については、細胞株を用いた実験により、Notchシグナルの下流に位置するHes1の抑制により巨核球分化が阻害されることを示しており、おおむね計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)34α+細胞が巨核球へと分化する分化経路について、すでに知られている造血幹細胞/前駆細胞のどの段階から34α+細胞が分化してくるのか、single cell microarrayやsingle cell PCRを用いて、遺伝子発現プロファイルの面から検討する。また、これらで得られた結果をもとに、34α+細胞の起源と考えられる細胞を用いた移植実験を行い、in vivoで34α+細胞やその先の巨核球分化・血小板産生がみられるかを検証し、in vitro, in vivoの両面から34α+細胞の位置する巨核球分化経路の全貌を明らかにする。 (2)トロンボポエチンの受容体であるcMPL、あるいはNotchシグナルの下流因子であるRBP-Jのノックアウトマウスを用いて、34α+細胞を含む巨核球分化経路とトロンボポエチンシグナル・Notchシグナルの関連をin vivoで検証する。
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Research Products
(1 results)