2014 Fiscal Year Annual Research Report
純粋巨核球前駆細胞の同定および巨核球造血シグナル制御の解明
Project/Area Number |
25860779
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横山 泰久 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70512820)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 純粋巨核球前駆細胞 / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨核球・血小板分化経路は,造血幹細胞(HSC)から骨髄球系共通前駆細胞(CMP)を経て,巨核球・赤血球前駆細胞(MEP)へと分化した後,最終的に成熟巨核球・血小板へと分化するモデルが提唱されてきた。また、純粋な巨核球前駆細胞のprospectiveに同定する試みは いまだ成功していない。我々は、成熟巨核球マーカーであるGPIbα(CD42b)はCMP分画の一部に発現していること、GMP・MEPには発現していないことを見出した。緑色蛍光タンパク質をユビキタスに発現するマウスからこのCD42b(+)CMPを採取・分離し、放射線照射を行ったマウスに移植して分化能をみたところ、巨核球・血小板産生のみを示し他の骨髄球系細胞には分化しなかった。この結果等から、CD42b(+)CMPは巨核球のみにしか分化能を持たない、純粋巨核球前駆細胞(MKP)であることがin vivoで示された。 Lineage(-)Sca1(+)cKit(+)細胞(LSK)は造血幹細胞/前駆細胞を含む分画として知られる。分化培養を行うとMKPはLSKから生じ、CMPやMEPからは分化しないことが明らかにした。さらに、分化培養や移植実験から、LSKのうち、特にCD41(+)分画からMKPが生じることを明らかにした。さらに、単一細胞で遺伝子発現プロファイルを解析すると、CD41(+)LSKとMKPは非常に近い遺伝子発現パターンを呈したが、MEPとは異なっていた。これらの結果から、CD41(+)LSKはMKPの上位に位置し、HSCから巨核球への分化過程において、MEPを介さずに直接MKPへ分化する経路を構成していると考えられた。マウスに5-FUを投与し血小板減少を起こさせると、回復の過程でCD41(+)LSKの増加がみられた。CD41(+)LSK-MKP経路はこのような緊急的な造血に関与している可能性を考えている。
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