2014 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫における腫瘍細胞自身のVE-cadherin発現と病態機構の解明
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25860780
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
入内島 裕乃 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (10621576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / CD28 / CD56 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の目的であった、多発性骨髄腫(MM)腫瘍細胞自身におけるVE-cadherin発現と病態生理の解明は昨年度の研究成果より直接の関連性を見出すことは困難と考えられた。そこで本年度は、MMの腫瘍進展の病態に重要な血管新生に関連した分子の一つであるIL-8に関与が示されているCD28に着目した。CD28は一般的にT細胞表面の補助受容体でT細胞活性化に寄与している。一方、形質細胞にも発現しており腫瘍増殖・生存に関わっていると言われているがそのメカニズムは明らかにされていない。まず、初発・無治療のMM患者と新規治療薬で治療後再発・再燃したMM患者におけるCD28の発現をフローサイトメトリーで解析したところ、有意に再発・再燃MM患者においてCD28の発現が上昇しており、CD28の発現は再発時に形質細胞腫や、t(11;14)を有している患者に多い傾向がわかった。その原因として、腫瘍細胞における接着分子に関連性がないかを細胞接着分子であるCD56=N-CAM(natural cell adhesion molecule)に着目してフローサイトメトリーで解析したところ、CD56発現低下がCD28発現陽性例に多くみられることが明らかとなった。そこで、種々のMM細胞株におけるCD28とCD56の発現についても検討を行ったところ、KMS11、ARH77、U266においてCD28+/CD56+とCD28+/CD56-の2つの分画が存在すること、またKMS11、ARH77においてはCD28+およびCD28-の分画が存在することが分かった。次に、これらの各分画を用いて新規治療薬であるボルテゾミブ耐性の有無を比較検討した。すると、KMS11、ARH77においてCD28陰性分画よりCD28分画の方がボルテゾミブ投与後アポトーシスを起こしにくいことが分かり、CD28と薬剤耐性との関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究方針であったMM細胞株におけるCD28発現の差と細胞遺伝学的背景、またMM患者の臨床経過とCD28発現の関連性ついての傾向がつかめ、薬剤耐性を示唆するような結果も得られたことから本年度の研究計画はおおむね達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
CD28発現の有無によるプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ耐性に関して、抗CD28抗体を用いて発現を抑制することで、アポトーシスに差がでるかどうかを検討する。また、他のプロテアソーム阻害薬も用いて、同様の結果が得られるかを検討する。更には、持続的にボルテゾミブを投与することで、CD28陽性とCD28陰性で生存する細胞の割合に変化がみられるかも検討することで薬剤耐性の有無を明らかにする。そして、CD28発現がどの時点からみられるものかを、CD28陰性分画をsortingし、陰性分画から陽性分画が出現するかも検討していく予定である。これは、将来的にCD28が治療のターゲットにつながる可能性や治療選択を左右する重要な分子となる可能性が十分にあり、非常に有益な研究であると考えられる。
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Causes of Carryover |
次年度も研究を継続していくために、少しではあるが金額を残しておく必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な物品を購入する。
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