2013 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群(MDS)におけるIL-2受容体α鎖を標的とした新規治療の検討
Project/Area Number |
25860795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
近藤 麻加 日本医科大学, 医学部, 助手 (80468769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / IL-2Rα / CD25 / 腫瘍免疫 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
(1) 安定型IL-2Rα発現細胞の樹立: Human elongation factor 1 alpha (EF1α)のプロモーターを用いたIL-2Rα発現ベクター(pEF1-IL-2Rα)を作成した。そして、IL-2Rα陰性細胞のMDS細胞株F-36Pへエレクトロポレーション法によりpEF1-IL-2Rα vectorの遺伝子導入を行った。その後、BD FACSAria II セルソーターにてIL-2Rα陽性F36P細胞を分離した。更に、限界希釈法にてIL-2Rα陽性F36P細胞をクローニングし、22クローンのIL-2Rα発現F-36P細胞を樹立した。コントロールとして、空ベクター (pEF1 vector)を導入したF-36P細胞とした。また、同細胞の培養上清をELISA法にて可溶性IL-2Rαを測定したところ、上清中に可溶性IL-2Rαが検出された。 (2) IL-2Rα発現細胞の細胞増殖能: 22クローンのうち2クローンのIL-2Rα発現細胞において、フローサイトメトリー (FCM)を用いてPropidium iodide (PI)染色法による細胞周期、BrdU取り込み量、Ki-67の発現を解析した。しかし、IL-2Rα発現細胞は、コントロール細胞と細胞増殖能には差がなかった。 (3) IL-2Rα発現細胞の薬剤感受性: IL-2Rα発現細胞にAra-C、azacitidineをそれぞれ添加し、培養した。その後、Annexin V-PI染色し、FCMを用いてアポトーシス細胞の割合を解析した。Azacitidine添加では細胞のアポトーシスは起こらなかったが、Ara-C添加では、濃度依存にIL-2Rα発現細胞のアポトーシスが誘導された。しかし、IL-2Rα発現細胞とコントロール細胞の薬剤感受性は同じであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定型IL-2Rα発現細胞の樹立に関して時間を要した。 IL-2Rα陰性MDS細胞株のF-36P細胞にpEF1-IL-2Rα vectorをエレクトロポレーション法により遺伝子導入した。トランスフェクション後、選択用抗生物質G418存在下で培養を行い、G418耐性細胞を樹立した。しかし、トランスフェクション効率が悪く、IL-2Rα陽性F36P細胞の割合は数パーセントであったため、BD FACSAria II セルソーターにてIL-2Rα陽性細胞を分離し、更に、限界希釈法にてIL-2Rα陽性F36P細胞をクローニングし、IL-2Rα発現細胞株を樹立した。その後、培養上清の可溶性IL-2Rαの確認を行った上、IL-2Rα発現細胞の細胞増殖能や薬剤感受性の検討等を行った。 細胞株の樹立に時間を要したため、その後のT細胞との共培養の実験の開始がやや遅延した。今後はT細胞との共培養実験を行い、制御T細胞の解析を進めていきたい。更に、早期にNOGマウスへのIL-2Rα細胞の移植を行いモデルMDSマウスの樹立を目指す。その後、腫瘍免疫の解析やIL-2Rαを標的とした薬剤の投与により、IL-2Rα陽性MDSの病態解析、また、治療法の検討を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 骨髄異形成症候群 (MDS)患者、健常者の末梢血、または、骨髄液から単核球を分離し、制御T細胞(Treg)の割合をFCMにて解析する。同時に、MDS芽球上のIL-2Rα発現を解析する。更に、血漿中の可溶性IL-2RαをELISA法にて用いて定量し、血漿中IL-2RαとTregの割合の関係性を解析する。 (2) MDS患者、または、健常者からCD4+ naive T細胞を分離し、IL-2添加したIL-2Rα発現細胞とともに共培養を行う。これにより、可溶性IL-2RαがTregの誘導に寄与するのか、FCMにてTreg細胞の割合を解析する。Treg細胞が誘導された場合、Treg細胞の機能を更に解析する。 (3) NOGマウスにIL-2Rα発現細胞を皮下移植し、モデルMDSマウスを作成する。コントロールは、IL-2Rα陰性F-36P細胞を移植したマウスとする。作成したMDSマウスにジフテリア毒素結合の抗IL-2Rα抗体を単独投与、または、Ara-Cとの併用投与にて、血漿中の可溶性IL-2Rαの濃度と、腫瘍量の変化を解析する。 (4) MDSマウスに、ヒト腫瘍患者の末梢、または、骨髄液の単核球を移植し、更に、IL-2を投与する。その後、Treg細胞が誘導されているか、腫瘍環境部分の細胞を採取し、FCMにてTreg細胞を解析する。更に、末梢血中の可溶性IL-2Rαの濃度を定量し、Treg細胞数との関連性を検討する。また、抗IL-2Lα抗体、ジフテリア毒素結合の抗IL-2Rα抗体を投与した場合、血漿中の可溶性IL-2Rαの濃度、Treg細胞の割合、腫瘍量の変化等を検討する。
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