2014 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞におけるTieシグナルの解析とTie1のリガンド同定
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25860799
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
百瀬 暖佳 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (70415488)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造血細胞 / 受容体型チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞は未分化性と多分化能を兼ね備えた血球系の幹細胞であり、その機能を維持する分子の一つとして受容体型チロシンキナーゼTie2が同定されている。同じTieファミリーに属するTie1も同様の機能を持つと考えられているが、ノックアウトマウスの表現型の違い等から独自の機能を有している可能性が示唆される。本研究課題では、オーファン受容体であるTie1のリガンド同定も含めたTie1の機能解析を行うことを目的としている。 平成26年度は、SST-REX法により見出された候補分子がTie1リガンドとして機能するかどうかの検討を平成25年度に引き続き行った。平成26年度は、リガンドの候補となりうる分子を文献上からも探索し、候補分子に追加した。候補分子を用いてTie1発現細胞への添加効果を検討したが、操作中にTie1の発現が著しく低下し解析不能となったため、Tie1を恒常的に発現する血液細胞株を作製し、リガンド候補分子の添加効果を検討した。しかしながら、恒常的発現株においても操作中にTie1の発現が低下し、解析困難となった。血管内皮細胞同様に細胞外ドメインの切断が起こっている可能性を検討したが、細胞外ドメイン切断という現象は血液細胞においては確認されなかった。 Tie1、および下流シグナルの解析を行うため、Tie1のconstitutively active体(推定)、dominant negative体を発現する血液細胞株を構築した。野生型、constitutively active体について定常状態ではチロシンリン酸化の亢進は確認できなかったが、Tie1の活性化(リン酸化)については研究者によって見解が分かれるところである。これら細胞株においてリガンド候補分子のmRNA量を検討したが、リガンド候補分子の発現に影響は及ぼさないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tie1の発現量コントロールが困難であるため、平成26年度は当初の計画よりやや遅れ気味である。平成26年度に構築したTie1の強制発現株を活用することにより、ある程度の問題解決が見込まれる。平成27年度も引き続き当該研究の遂行に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在リガンド候補分子の添加効果を検討中であるが、操作中に著しいTie1の発現低下が認められるため、明確な結果が得られていない。Tie1の発現低下の原因として分解促進の可能性を考え、Tie1のN末端、またはC末端を認識する抗体によって分解産物の検討を行ったが、分解の現象は検出されていない。また、血管内皮細胞のような細胞外ドメイン切断も見られておらず、Tie1の発現低下の原因は不明である。今後はプロテアソーム阻害剤等を用いることも検討している。不溶化画分への移行によってもTie1の発現低下は起こると考えられたため、刺激後の細胞を分画し、各分画におけるTie1量をウェスタンブロット法で検討したが、内在性Tie1の発現量が低いため検出限界以下となった。免疫染色による検討も細胞が非常に脆いため困難であったが、Tie1恒常発現株において同様の検討を再度試みる予定である。同じ画分に候補分子が共局在するかも検討したい。 Tie1の発現変動ついては細胞の状態との関連を示唆するデータが得られていることから、阻害剤やノックダウンの手法等を用いてTie1の発現調節に関する分子基盤について解析を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成27年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成26年度分についてはほぼ使用済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度末に納品があったもの等について、平成27年4月1日以降の支払いとなったものに使用予定。
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