2013 Fiscal Year Research-status Report
肺炎クラミジアとカーボンナノ粒子による相乗的な気管支喘息の増悪化機序
Project/Area Number |
25860824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 淳司 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (50359486)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺炎クラミジア / カーボンナノチューブ / IL-1 |
Research Abstract |
慢性炎症の中心的役割を担うIL-1βが、肺炎クラミジアおよびカーボンナノ粒子により、カスパーゼ1を介して相乗的に誘導されることをマクロファージ(PMA刺激THP-1細胞)を用いて検討した。カーボンナノ粒子としてカーボンナノチューブを用い、成熟型IL-1βの誘導はウェスタンブロット法にて確認した。まずマクロファージを肺炎クラミジア単独投与を行ったところ、成熟型IL-1βを誘導することを確認された。次に肺炎クラミジア感染マクロファージにカーボンナノチューブを投与したところ、成熟型IL-1β誘導が上昇することが認められた。このカーボンナノチューブ投与による成熟型IL-1β誘導の上昇は、カーボンナノチューブの濃度および時間依存的であることが認められた。また透過型電子顕微鏡を用いた観察を行ったところ、同一マクロファージ内に肺炎クラミジアとカーボンナノチューブの両方が存在している像が観察された。しかしながら、肺炎クラミジア感染マクロファージへのカーボンナノチューブの投与はマクロファージからのIL-1βの mRNA発現には影響を与えなかった。またカーボンナノチューブの存在は肺炎クラミジアの数への影響は認められなかった。このようにカーボンナノチューブが肺炎クラミジアと相乗的に成熟型IL-1βを誘導することが明らかとなった。現在、肺炎クラミジアおよびカーボンナノチューブによるIL-1β誘導の詳細なメカニズムを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、肺炎クラミジアおよびカーボンナノ粒子による成熟型IL-1β誘導を検討した。その結果、カーボンナノ粒子が肺炎クラミジアと相乗的に成熟型IL-1βを誘導することが明らかとなった。しかしながら、カーボンナノ粒子はIL-1β mRNA発現には影響を与えなかったことから、IL-1βのプロセッシングに影響していることが示唆された。このように本年度は当初の計画どおり研究が遂行できたため、「(2) おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においても、当初の計画通り、肺炎クラミジアおよびカーボンナノ粒子によるIL-1β誘導の分子メカニズムの解明を目的に検討を行う。すなわち、カーボンナノ粒子が、どのようにして成熟型IL-1βを誘導しているか明らかにするために、IL-1β誘導にかかわる様々な阻害剤あるいは遺伝子ノックダウンシステムなどを使って実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
32,063円の次年度使用額は、本研究をより効率的に運用したために生じたものであり、次年度に使用予定の経費と併せて、本研究を完遂できるように阻害剤や遺伝子ノックダウンシステムを用いた実験に使用する。 次年度は、細胞培養に関る培地・消耗品、阻害剤、遺伝子ノックダウンシステムに関る実験に加えて、研究成果発表にかかわる旅費ならびに論文作成に必要な費用に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)