2015 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍における新規癌ウイルス感染実態の解析と発癌との関連について
Project/Area Number |
25860829
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
谷口 亜裕子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30403885)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ウイルス / 感染症 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫は神経膠細胞由来の悪性腫瘍(神経膠腫)の中でも未分化で増殖能の高い腫瘍である。脳腫瘍全体の約1割を占め、極めて進行が早く、最も悪性度の高い脳腫瘍である。病因は不明であり、現在までに効果的な治療法は確立されておらず、その病態全容の解明が求められている。近年、欧米において膠芽腫の90%以上でヒトサイトメガロウイルスの感染が認められるとの報告があり、病因との関与が指摘されている。我々は、本邦発症の膠芽腫とヒトサイトメガロウイルス感染には因果関係が認められないことを示した。 一方、ポリオーマウイルスは以前より、脳腫瘍の成因に直接的あるいは間接的に関係するとの報告がなされているが、その関連性についてはいまだ十分な知見が得られていないのが現状である。我々はこれまでに新規ポリオーマウイルスであるメルケル細胞ポリオーマウイルスと膠芽腫には関連性が認められないことを示した。本研究において、同じポリオーマウイルスであるJCウイルス、BKウイルスについて、本邦の膠芽腫における感染実態を調べた。 膠芽腫39症例のパラフィン包埋切片および凍結組織よりDNAを抽出した。このDNAを鋳型とし、定量的リアルタイムPCRによりウイルスの検出を行った。JCウイルス、BKウイルスともにウイルスゲノムは検出されなかった。これらの結果は、本邦発症の膠芽腫とポリオーマウイルス感染に因果関係が認められないことを示すものであった。
|