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2013 Fiscal Year Research-status Report

エンテロウイルス71の感染メカニズムの解明 ーPSGL-1受容体を通してー

Research Project

Project/Area Number 25860832
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

片岡 周子  国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (10646623)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywordsウイルス感染 / 動物モデル / 神経ウイルス
Research Abstract

EV71-02363株の遺伝子配列に、VP1-98とVP1-145に変異を導入することでPSGL-1結合型(PB: 02363-EG)と非結合型(non-PB: 02363-KE)のクローンウイルスを作製した。作製したウイルスを、それぞれ4頭のカニクイザルに静脈内接種し、中枢神経症状を含む臨床症状の発現を観察した。感染後0・3・7・10日目に臨床検体(末梢血、直腸拭い液、咽頭拭い液、髄液)を採取した。両群とも重篤な神経症状は認められず、感染10日目に解剖し、心臓・肝臓・脾臓などの主要臓器や脳・脊髄などの中枢神経系組織を採取した。
non-PB接種群は後肢の麻痺や振戦などの神経症状を示した。また直腸拭い液、咽頭拭い液及び血清から高頻度にウイルス及びウイルス遺伝子が検出された。一方、PB接種群は明らかな神経症状を示さなかったが、感染後期の血清や末梢血単核球、中枢神経系組織からウイルス及びウイルス遺伝子が検出された。検出されたほとんどのウイルスはどちらの接種群においてもVP1-98あるいはVP1-145にアミノ酸変異を有したnon-PB型(02363-EE)であったが、感染後期に採取したPB感染サルの末梢血単核球には変異を持たない02363-EGが検出された。またウイルス感染期間中における末梢血中のリンパ球数の変動は、PB感染群では見られなかったが、non-PB感染群においては感染初期に減少しその後回復するというパターンを示した。
また剖検時に採取した中枢神経組織の病理学的解析では、中枢にはウイルス抗原の検出は出来なかったが、どちらの接種群サルにおいても炎症反応が観察された。
以上の事からnon-PB感染は神経症状を引き起こし、またin vivoにおいてEEの配列を持ったnon-PBが優位に選択され、増幅している事が明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

in vivoにおけるEV71のウイルス学的解析では、PB、non-PB感染に関わらず、ほとんどの検体から検出されたウイルスはVP1-98EとVP1-145Eの配列を持ったnon-PBであるという面白い結果を得た。この結果からin vivoにおいてはEE配列を持つnon-PBが優位に選択・増幅すること、そしてnon-PB感染により神経症状を引き起こされることが明らかになった。
次のステップとして示していた、神経症状重症化メカニズムの鍵となる因子の探索をすでに始めており、まずPBとnon-PB感染による宿主免疫応答の違いを解析するため、血清中のサイトカイン量を測定した。その結果、non-PB感染サルの血清において多くのサイトカイン濃度が高く、面白い事に、PB感染サルでは感染3日後においてもサイトカイン濃度は感染前と変化していないものが多く見られた。

Strategy for Future Research Activity

今後は免疫応答の解析として、中枢神経系におけるサイトカイン産生量の測定を行なう。既に病理学的解析からは中枢神経組織において炎症が見られる事は明らかであるが、どのようなサイトカインが産生されているのか、その詳細を明らかにしたい。
また、同じウイルス感染群の中でも、ウイルスが高頻度に検出出来たサルと全く検出出来なかったサルが存在すること、またウイルス感染に伴うリンパ球数の変動が他のサルと異なっているものなど、免疫応答能の個体差が関わっている事が示唆されている。これらのことから、宿主の遺伝子発現プロファイルのcDNAマイクロアレイ解析を行うことで、ウイルス感受性を左右する個体差を作り出す要因を解明できると考えられる。
また、研究計画の追加ではあるが、検体に含まれるウイルスのうちどれくらいの割合のウイルスが変異しているのか、ウイルスのquasispieciesを明らかにすると共に、経時的にウイルスが選択される様子を次世代シークエンスによる解析で明らかにしたい。またこの解析により、現在着目しているVP1領域だけでなくウイルスの全ゲノムシークエンスが可能となり、VP1以外の領域における共通の変異の有無が明らかにし、non-PBとPBのin vivoにおける感染メカニズムの違いがさらに明らかになると期待される。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究に必要な試薬・消耗品が既に研究室にあったので、購入する必要がなかった。
追加実験として次世代シークエンサーを用いた解析を行う予定にしているので、その試薬を購入するのに使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Enterovirus 71 binding to PSGL-1 on leukocytes: VP1-145 acts as a molecular switch to control receptor interaction.2013

    • Author(s)
      Yorihiro Nishimura mail, Hyunwook Lee, Susan Hafenstein, Chikako Kataoka, Takaji Wakita, Jeffrey M. Bergelson, Hiroyuki Shimizu
    • Journal Title

      PLoS Pathogens

      Volume: 9 Pages: e1003511

    • DOI

      10.1371/journal.ppat.1003511

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] VP1-145 of enterovirus71 is one of the determinants for pathogenicity in a cynomolgus monkey model.2014

    • Author(s)
      Chikako Kataoka
    • Organizer
      18th International Picornavirus Meeting
    • Place of Presentation
      Blankenberge, Belgium
    • Year and Date
      20140309-20140314
  • [Presentation] エンテロウイルス71のカニクイザルにおける病原性の解析2013

    • Author(s)
      片岡 周子
    • Organizer
      日本ウイルス学会学術集会
    • Place of Presentation
      神戸国際会議場
    • Year and Date
      20131110-20131112

URL: 

Published: 2015-05-28  

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