2014 Fiscal Year Annual Research Report
なぜバルプロ酸は神経管欠損症を引き起こすか?-葉酸代謝酵素欠損マウスを用いた解析
Project/Area Number |
25860837
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 敦生 東北大学, 大学病院, 助教 (30447156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児神経学 / 葉酸代謝 / 神経管欠損症 |
Outline of Annual Research Achievements |
バルプロ酸は頻用される抗けいれん薬だが、胎児に神経管欠損症を生じるため妊娠可能な女性への投与が制限され、その副作用の機序解明は重要である。最近、研究者らは葉酸代謝に関与するグリシン開裂酵素系遺伝子のノックアウトマウスが高率に神経管欠損症を起こすことを見出した(Hum Mol Genet, 2012)。バルプロ酸はグリシン開裂酵素系を抑制するため、それによるDNAメチル化異常を介してバルプロ酸関連神経管欠損症が発生するとの仮説を立てた。本研究では、このノックアウトマウス胎仔のDNAメチル化状態とmRNA発現をゲノムワイドに解析し、仮説を検証する。 平成25年度はヘミマウスを掛けあわせ、妊娠マウスより、ノックアウトマウス胎仔と同腹の野生型胎仔を神経管閉鎖時期である胎生9日頃に取り出してそれぞれの胎仔よりDNA/RNAを抽出、保存した。DNAをプールして次世代シークエンサーによる網羅的DNAメチル化解析に供した。網羅的DNAメチル化解析には微量のDNAで解析可能な手法であるPost Bisulfite Adaptor Tagging (PBAT)法を用いた。出力された配列データをマッピングソフトウエア(Bowtie, Bismark)によりマウスゲノム参照配列にマッピングし、可視化することに成功した。 平成26年度はDNAメチル化状態をノックアウトマウス胎仔と野生型胎仔で比較し、メチル化サイトごとに有意にメチル化状態が変化している部位の探索を継続したが、リードdepthの不足により、統計処理によるメチル化状態変化部位の検出が困難であった。すでに解析したmRNA発現アレイより得られた候補遺伝子でのメチル化状態の変化を、トップヒットの遺伝子から個別のメチル化解析を行った。現時点では有意なメチル化状態の変化のある遺伝子を得ていないが、順に個別の候補遺伝子探索を継続している。
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