2014 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュを用いたペルオキシソーム病発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
25860855
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高島 茂雄 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 助教 (50537610)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / PEX遺伝子 / ペルオキシソーム形成異常症 / 極長鎖脂肪酸 / フィタン酸 / プラズマローゲン / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトペルオキシソーム病のモデルフィッシュを作成し表現型を解析することによりペルオキシソームの発生への影響を明らかにする研究を行っている。今年度は以下の実験を行った。(1)PEX2の機能を欠失したゼブラフィッシュ系統の確立。前年度において野生型ゼブラフィッシュにPEX2遺伝子をターゲットとしたTALENを導入し、PEX2の欠失を誘導した。本方法で複数のタイプの欠失を持つ個体が多数得られたためそのうちフレームシフトを起こした個体を選別し、野生型と交配することで特定の欠失を持つ個体由来の系統を3系統確立した。現在それぞれの系統において表現型を確認する実験を行っている。(2)UPLC/MSを用いたペルオキシソーム代謝産物の測定方法の確立。前年度においてペルオキシソーム代謝産物のうち極長鎖脂肪酸の測定方法を確立していたため今年度はプラズマローゲン、エーテルリン脂質の測定方法の確立を試み、達成した。(3)ペルオキシソーム可視化のためのmCherry-SKL系統の作出。これまではペルオキシソームの同定のためにはペルオキシソームに局在するタンパク質に対する抗体染色を行う必要があった。ペルオキシソームの同定を簡単に行えるようにするために赤色蛍光タンパクであるmCherryにペルオキシソーム局在化シグナルであるSKL配列を付与した融合遺伝子を持つトランスジェニック個体の作出を試みている。mCherry-SKL融合タンパクがゼブラフィッシュ細胞内でペルオキシソームに局在することが確認できたため現在I-SceIメガヌクレアーゼによるゲノムへの組み込みを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TALENによるPEX2遺伝子の欠失誘導は予定通りに進んでいる。TALEN導入個体から複数の欠失が得られたためフレームシフトの種類が異なる3つの系統を確立することができた。今後これらの系統それぞれからPEX2遺伝子変異ホモ個体を選別し調べることでペルオキシソームの発生過程への寄与が明らかになると期待される。またペルオキシソームにおける代謝産物の同定方法も確立し、ペルオキシソームの異常に起因する生化学的な変化の検出も行うことが可能となった。予定していた極長鎖脂肪酸を受精卵に作用させて影響を観察する実験については極長鎖脂肪酸を溶解する基質の検討を行った。今後マイクロインジェクションによりその影響を検討する予定である。ペルオキシソームを可視化できるトランスジェニック系統の作成も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
PEX2変異個体の表現型解析を続ける。脳の層構造を可視化できる抗体を使用して、脳の発生過程を詳しく調べる。さらに他のPEX遺伝子の変異個体についても作出を行い、表現型を観察する予定である。またペルオキシソーム局在化蛍光タンパク利用して発生過程におけるペルオキシソームの動態の経時的観察を行う。同蛍光蛋白は変異個体の表現型解析にも用いる。極長鎖脂肪酸、フィタン酸の直接的な影響をマイクロンジェクションによる同物質の受精卵内への導入によって解析する。
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Causes of Carryover |
代謝産物の同定を行うためのLC-MSでの解析が順調に進んだため標準試薬の量を節約できたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
代謝産物解析用の消耗品、及び遺伝子解析用の酵素類、組織化学的解析用の皇太子役棟の購入費とする。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Analysis of phathology of peroxisomal biogenesis disorder2014
Author(s)
Shigeo Takashima, Kayoko Toyoshi, Takahiro Ito, Naomi Kajiwara, Akiko Ohba, Ayako Honda, Satoshi Yoshida, Nobuyuki Shimozawa
Organizer
第56回 日本先天代謝異常学会, The 12th Annual Symposium of the Asian Society for Inherited Metabolic Diseases
Place of Presentation
Koyo Grand Hotel, Sendai, Japan
Year and Date
2014-11-13 – 2014-11-15