2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES/iPS細胞への順遺伝学的手法適用による、白血病の新規発症機序解明
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25860856
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 明 京都大学, iPS細胞研究所, 助教 (20546999)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 白血病 / 順遺伝学 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、前年度に作製した遺伝子カセットを用い、iPS細胞、iPS細胞由来造血細胞、あるいは臍帯血由来造血幹前駆細胞へ変異導入してインビトロとインビボの表現型スクリーニングを進めた。まず、臍帯血由来造血幹前駆細胞へAML1-MTG8とFLT3-ITDもしくはc-kit活性型変異を導入した細胞では、コントロールに比してモノクローナルな細胞増殖とNOGマウス移植後のキメリズム増加、肝腫大などの白血病様表現型が出現し、細胞内のRAS経路等の活性化を認めた。iPS細胞由来造血細胞臍帯血への導入においても、インビトロとインビボの双方で臍帯血にほぼ同様の表現型を得ることに成功した。従来、正常iPS細胞由来の造血細胞において移植マウス内で長期生存可能な系はなかった。本系においても、AML1-MTG8単独、FLT3-ITD単独、c-kit変異単独導入の細胞では長期の表現型を認めなかったが、複数の遺伝子導入によって患者細胞と同じく白血病様の特徴を獲得できることが明らかになった。このことは、本系が白血病の多因子モデルを模倣しうることを示すものと考えられた。上記の観察から、次にAML1-MTG8、FLT3-ITD、c-kit活性化の既知白血病遺伝子とランダム変異導入カセットを混合して細胞に導入し、インビトロでの増殖能観察とともにマウス内で増殖してきた細胞の変異同定、変異細胞のクローナリティの経時的変化の解析を行った。その結果、細胞死に関連した遺伝子の抑制変異や、細胞周期チェックポイントへの関与が示唆される遺伝子への変異など、複数の変異が同定された。
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