2013 Fiscal Year Research-status Report
早産児の乳児期早期における視覚認知機能と発達的予後との関連について
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25860866
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小西 行彦 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60528157)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 視覚認知 / 発達 / 健診 |
Research Abstract |
定型発達生後3か月児12名、8か月児23名、10か月20名、12か月児22名、および早産児28名について、視覚認知機能の評価を行った。当初の計画では顔認知・OKN・追視・注意の切り替えについて検討を行う予定であったが、より多角的に評価を行うため検討項目を①再注視課題②色と運動の統合③運動透明視④音声と顔の統合⑤バイオロジカルモーションの5つに変更した。定型発達児では①~③の項目についていずれも高い通過率を認める一方、④⑤では一定の傾向がみられず、健診に用いる項目としては不適当であると考えられた。また早産児においては症例数が少ないもののおおむね定型発達児と同様の傾向がみられたが、一部の症例では定型発達児とは異なる視覚行動を示す児もみられ、こうした児の発達的予後についてさらに検討していく必要があると考えられた。この結果については第56回日本小児神経学会総会において口演発表する予定である。 また以前修正4カ月の時点での顔認知課題を行い、定型発達児とは異なる傾向を示した早産児の1歳6か月時での発達について新版K式発達検査を用いて評価した。この結果乳児期に顔認知課題において何らかの異常を認めた症例では姿勢・運動領域に比べ言語・社会領域が低くなる傾向が見られた。特にM-CHATの結果からPDDが強く示唆された症例では乳児期の顔認知課題における視覚行動が定型発達児とは異なる結果を示しており、乳児期の顔認知機能と発達的予後との関連が示唆された。この結果については第55回日本小児神経学会で口演発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた項目を改善することでより多角的な評価を行えるようになり、また対象もより幅広い月齢を対象としたことで発達的変化も検討しやすくなった。定型発達児に関しては順調に計測を行うことができ、当初の予定を上回る参加者を得ることができた。しかし早産児に関しては当院での出産が予定より少なかったこともあり、今年度は十分な参加者を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
乳児期の視覚認知機能を評価するための課題について、特に社会性や顔認知機能を評価することのできる項目について複数の月齢あるいは年齢において計測を行っていく。また早産児についてはさらに計測を行い、定型発達児との違いの有無などについて検討を行う。対象とする早産児について当院で出生した児のみでは少ない場合には近隣小児科などに協力をお願いし、対象者を確保していく予定である。
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