2016 Fiscal Year Research-status Report
早産児の乳児期早期における視覚認知機能と発達的予後との関連について
Project/Area Number |
25860866
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小西 行彦 香川大学, 医学部, 助教 (60528157)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 乳幼児 / 発達 / 視覚認知 / 健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新奇選好性を用いた顔認知機能の評価課題を生後9-10か月(早産児では修正月例)の正期産児22名及び早産児10名を対象に行った。この課題は乳児に同じ刺激を繰り返し提示し、児が刺激に馴れたところで、新しい刺激が提示された場合、そちらをより長く見るという乳児の性質(新奇選好性)を用いて,刺激に対する識別などを検討する方法である。 正期産児では同じ課題を提示した場合であっても、刺激の提示時間によって新奇選好性を認める条件と認めない条件とがあり、新奇選好性を確認するには適正な提示時間が必要であることが明らかになった。また正期産児において新奇選好性を認めた課題を早産児に提示したところ新奇選好性を認めず早産児の視覚認知機能の発達過程に異なる点があることが明らかになった。乳児期における新奇選好性を用いた課題の所見はのちの知的発達に関連するといわれていることから、今回の研究における早産児の乳幼児期の視覚認知機能の違いがのちの発達に関連する可能性が示唆された。また左右に同時に提示された刺激を見比べる回数が早産児と正期産児とを比較すると早産児で有意に少なく、顔の情報の処理により長く時間を要することが明らかになった。これらの知見より、乳児期より早産児と正期産児の視覚認知機能には違いが見られており、後の発達にも影響を及ぼしていることが示唆された。 この結果については第5回発達神経科学学会で発表を行い、第59回日本小児神経学会学術集会でも発表を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な課題を用いて乳幼児期における早産児の視覚認知機能の発達的変化を明らかにすることができた。発達的予後の評価に用いる予定であったBayleyⅡ乳幼児発達検査の日本版の標準化が当初予定されていたより遅れており、一般への販売が開始されていないため、代替手段を検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
発達的予後の評価について当初予定していたBayleyⅡ乳幼児発達検査ではなく新版K式やKIDSなどの代替手段を用いて乳幼児期の視覚認知機能との関連を明らかにしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
本来発達の評価として用いる予定だったBayley発達検査の日本語版が未発売であったため発達評価を予定通り行うことができなかったため計画を変更し、未使用額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため発達評価を代替の方法で行い、未使用額をその経費に充てる予定である。
|