2013 Fiscal Year Research-status Report
複合型下垂体機能低下症における新規原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
25860871
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊達木 澄人 長崎大学, 大学病院, 助教 (70462801)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児内分泌学 / 下垂体 |
Research Abstract |
平成25年度の研究成果 (1) 検体集積:長崎大学病院小児科、国立成育医療研究センターを中心とする複数の医療機関で継続的に下垂体機能低下症患者の集積を行い、約80例の下垂体機能低下症例を集積した。現時点で両親の検体が使用可能な3家系において、以下の解析を進めている。 (2) 臨床評価:トリオ・エクソーム解析が可能な3家系の臨床情報は以下の通りである。症例1:12歳女児、汎下垂体機能低下症、下垂体低形成、異所性後葉、重度精神運動発達遅滞 症例2:15歳男児、複合型下垂体機能低下症、下垂体低形成、視神経低形成。症例3:1歳男児、汎下垂体機能低下症、下垂体低形成、異所性後葉、重度精神運動発達遅滞 (3) エクソーム解析:症例1,2とその両親において、末梢白血球から通常の方法でゲノムDNAを採取し、次世代シークエンサー(SOLiD 5500, Life Technologies)を用いて、全遺伝子のエクソン領域の配列を決定した。現在、データの処理、解析を進めているが、症例1ではデータベースに存在しない4つの遺伝子上のDe novo変異をそれぞれヘテロ接合性に同定した。こらら4つの変異は、PCR-直接シークエンス法を用いて確認した。症例2はデータ解析中である。 (4) ゲノムコピー数解析:エクソーム解析では解析できないコピー数の異常検出するため、array CGH、SNP array解析を行った。上記3症例では明らかなDe novoの欠失や重複は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はすでに、原因不明の先天性下垂体機能低下症患者2症例とその両親においてトリオ・エクソーム解析を行った。そこから得られるデータは膨大なものであり、現在、そのデータの処理と解析・検討を行っている。また、新たな1家系においても解析を行う予定である。現時点での進行状況はおおむね順調であると思われる。今後、同定された候補遺伝子が、新規原因遺伝子となりうるか、十分な検討を行う。また、可能であれば今後症例数を増やしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策:今まで施行した2家系のトリオ・エクソーム解析の結果の解析、検討を行うとともに、新たな下垂体機能低下症患者と両親の解析を行う。われわれは、繰り返す低血糖、新生児肝炎、下垂体低形成、異所性後葉、中枢神経系奇形を要する新規汎下垂体機能低下症 乳児例とその両親に対し、既知遺伝子異常症、コピー数異常の除外を施行後に、エクソーム解析を行う予定である。候補遺伝子の検討は、発現解析や他症例での変異解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、次世代シークエンスを用いたエクソーム解析を行うための、患者、家系の選別、既知遺伝子異常症の除外を主に行った。そのため、H25年度未使用額は、これらの家系のエクソーム解析と候補遺伝子の検索、解析のため、H26年度に使用する予定である。 H25年度未使用額にH26年度使用分を併せて以下の研究費を使用予定である。 エクソーム関連試薬:100万円 ゲノムコピー数解析関連試薬:50万円 遺伝子発現解析のためのヒトcDNAライブラリー購入:40万円 分子生化学関連試薬:35万円 実験補助人件費:40万円 成果発表旅費、論文別刷:30万円 ディスポーザルプラスチック器具:5万円 通信費:5千円
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