2015 Fiscal Year Research-status Report
小児アレルギー疾患におけるST2遺伝子発現と転写調節機構の解析
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25860883
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
馬場 洋介 順天堂大学, 医学部, 助教 (40647971)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IL-33受容体 / ST2遺伝子 / 粘膜免疫 / インフラマソーム / 転写調節因子 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
上記研究計画のもと、IL-33受容体に対する小児アレルギー疾患の遺伝子解析を行った。ヒト塩基球様細胞、またはヒト肥満細胞様細胞で得られた結果をもとに小児アレルギー疾患に対するIL-33やST2発現に対しての解析を行い、小児アレルギー疾患、特に食物アレルギーにおけるIL-33受容体の特異的発現を臨床検体で証明した。しかし、臨床検体での細胞発現の検討ではその差異を証明できず、小児アレルギー疾患の発症について、その細胞レベルでの免疫応答解析研究を進めた。とくに免疫応答における炎症がアレルギー発症に関する関連因子について解析をすすめ、粘膜免疫における炎症機構を検討した。興味深いことに、粘膜免疫炎症においてもST2受容体は重要な役割を演じている可能性があり、粘膜における細胞障害による炎症が小児アレルギー疾患、特に新生児における消化管炎症反応において主役を演じている可能性が示唆された。 そこで、新生児や小児アレルギー疾患における炎症細胞において、IL-33受容体が関与する影響を証明するために、臨床検体を用いてIL-33およびST2の発現やそのインフラマソームに関わる因子を検討することとした。その結果、とくに小児アレルギー疾患の食物アレルギーにおける、食物抗原に対する耐性獲得の遅延が関わる因子に粘膜免疫応答におけるIL-33受容体が関連している可能性を示唆し、その再現性を証明した。その他にも粘膜免疫応答における多くの因子について、小児アレルギー疾患発症との関連を示唆し、今後の検討課題として各関連学会や学会誌にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究計画のもと、今年度は臨床検体を用いた研究をすすめアレルギー発症に関わる関連因子を検討した。研究当初から予想された結果に加え、新規の小児アレルギー疾患において重要な役割を演じる分子や抗体の関連が考えられ検討を追加した。その後それらの遺伝子レベルでの発現を現在検討しているが、多くの候補が挙げられ研究進行はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
小児アレルギー疾患の発生や疾患重症度に対するST2発現や新規の分子に対しての検討を継続し、現在の結果とこれまで国際学会で報告してきた検討内容を国際雑誌に投稿準備中である。継続し検討を続けることに並行し、今年度中に掲載完了する予定である。
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Causes of Carryover |
現在進行中の研究終了が次年度前半までかかる見込みであることや、今年度中に投稿予定であった論文が準備段階であることもあり来年度決済予定の費用が生じてしまった。 一方もともと今年度に参加・発表予定であった国際学会から招聘を受け参加費などが免除になったことや、その他の国際学会でもトラベルグラントに応募し取得したことなどで、海外渡航費や参加費などが主催者負担になったことなどもあり、研究費の予定使用が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度前半までには現在投稿準備中である論文は掲載予定となる見込みであり、それらの投稿費用などに使用する予定である。また、新規検討を加えた研究についても一部使用予定である。
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Research Products
(9 results)