2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河村 吉紀 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (30581475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス6 / 内側側頭葉てんかん / 内側側頭葉硬化症 |
Research Abstract |
HHV-6Bは乳幼児期の熱性発疹症である突発性発疹症の原因ウイルスであり、初感染時の熱性けいれん、脳炎だけでなく、内側側頭葉てんか(MTLE)などの神経疾患への関与が報告されている。またHHV-6Bは移植後急性辺縁系脳炎の主要病原体であることも明らかになっており、これらの疾患はともに海馬病変を持つことから、本ウイルスが海馬に潜伏感染、再活性化し疾患発症に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。そこで本研究ではMTLEに焦点を当て、当研究室独自の分子生物学的検査法にて患者脳でのHHV-6Bの存在様式を解明するとともに、宿主遺伝子発現解析により、本症の病態に関わるHHV-6Bの役割を解明する事を目的として研究を行った。 本年度は静岡てんかん・神経医療センター脳神経外科から、難治性てんかん患者で手術により摘出された脳検体(75名、海馬66検体、扁桃体36検体、扁桃体と鈎の混合27検体)の供与を受けた。病理学的解析にて海馬硬化症(MTS)群52名、非MTS群23名に分類し、Real-time PCR法にてHHV-6DNA量(1000000/18S rRNA当り)はMTS群が非MTS群に比し有意に高値であった(中央値/Interquartile range; 19.1/0.0-89.2 vs 0.0/0.0-0.0 copy)。しかしながら、HHV-6Bの再活性化など活動性感染の指標となるmRNAは全検体で検出されず再活性化は認められなかった。 Taqman gene expression assayによる宿主遺伝子発現の解析においては、MTS群のHHV-6検出群が非検出群に比し、MCP-1及びGFAPの発現が亢進していた。 今回の結果からはMTS患者で有意にHHV-6の潜伏感染率が高く、宿主遺伝子発現の変化によるMTS発症の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は検体収集とHHV-6B DNA及びmRNAの定量までを主な予定としていたが、宿主遺伝子発現解析まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、各症例のHHV-6B初感染、熱性けいれん及び脳炎/脳症などの既往を確認し、それらとMTS発症の関与を解析する予定である。更に宿主遺伝子発現の網羅的解析をDNAマイクロアレイを用いて行い、今回測定することのできなかった他の遺伝子発現とMTS発症の関連を解析していく予定である。
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Research Products
(3 results)