2013 Fiscal Year Research-status Report
重症紫斑病性腎炎(HSPN)に対するシクロスポリンの有効性とその機序に関する検討
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25860890
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木全 貴久 関西医科大学, 医学部, 助教 (90593517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 紫斑病性腎炎 / シクロスポリン / ポドサイト / 尿中8OHdG / ネフローゼ症候群 |
Research Abstract |
本研究の対象である20歳未満のHSPN症例のうち、ネフローゼ症候群を呈する患者、1か月以上尿蛋白/Crが0.5g/gCr以上持続する患児に対して腎生検を行い、ISKDC分類gradeIII以上かつ、文書による同意を得られた患児として、4歳の女児の紫斑病性腎炎(ISKDC分類gradeIIIa)症例を1例登録した。本症例に対し、シクロスポリン4mg/kgの投与を開始した。シクロスポリン開始後28日で尿蛋白が陰性化し寛解した。 本患者からシクロスポリン投与前、投与開始後検尿を行い、尿蛋白陰性化、血尿陰性化までの期間を記録した。シクロスポリン投与前、開始後週1回、血液検査を行い、血清総蛋白、アルブミンを測定し、低蛋白血症の回復までの期間を記録した。対象患者から診断時、シクロスポリン投与開始後1週目、2週目、3週目、4週目、8週目、12週目および24週目に尿検定を採取し、10mlを尿中ポドサイト検査用に細胞保存液(ウリキープ)に保存、また10mlを1,500回転5分間遠心分離を行い、遠心分離後に上清を-80℃のディープフリーザーで保存した。 シクロスポリンの投与前後で、尿中落下ポドサイト数を測定した。その結果、投与開始前(尿蛋白陽性)に比べ、投与後は、尿中落下ポドサイト数が減少していた。尿蛋白の経過と相関しポドサイト数の減少を認めた。これは、シクロスポリンがポドサイトに対する影響を示唆する結果と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、20歳未満のHSPN症例のうち、ネフローゼ症候群を呈する患者、1か月以上尿蛋白/Crが0.5g/gCr以上持続する患児に対して腎生検を行い、ISKDC分類gradeIII以上かつ、文書による同意を得られた患児を対象としているが、今年度この基準を満たした症例は、1例のみであったため、3年間の目標症例数の20例を大きく下回っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象症例が少ないため、今後、1症例ずつのより詳細に検討を行う。すなわち、ポドサイト数、ポドカリキシン、尿中8OHdGだけでなく、随時尿のsynaptopodinのmRNA、c-mip mRNA、Fractalkine (CX3CL1)なども検討項目に加え、シクロスポリン投与前後で各種マーカーの動きを検討する。症例数が少なくとも、1例1例を詳細に検討することでシクロスポリンの紫斑病性腎炎に対する抗尿蛋白作用の作用機序は、シクロスポリンのsynaptopodinに対する作用であることを証明する。
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