2015 Fiscal Year Annual Research Report
重症紫斑病性腎炎(HSPN)に対するシクロスポリンの有効性とその機序に関する検討
Project/Area Number |
25860890
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木全 貴久 関西医科大学, 医学部, 講師 (90593517)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | シクロスポリン / IgA血管炎 / 紫斑病性腎炎 / ネフローゼ症候群 / ポドサイト / ポドカリキシン / シナプトポディン / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】紫斑病性腎炎(HSPN)の多くは予後良好であるが、2-3%に末期腎不全に到る。重症例に対しては、シクロスポリンA (CsA)の有効性が報告されている。近年、CsAはpodocyteに存在するカルシニューリンを阻害してアクチン結合タンパク質synaptopodinを安定化させ、その結果として蛋白尿が抑制されるというpodocyteへの直接的な効果を有することが示されている。「難治性HSPNに対するCsAの作用機序は、podocyteへの直接作用である」ことを目的に検討を行った。【対象】ステロイド治療を行われていないHSPNのISKDC Ⅲa以上の重症例を対象とた。 1.ポドサイト関連分子の尿中mRNAによる検討【方法】尿検体はCsA投与前後1週間の早朝尿を使用した。podocinとsynaptopodinのprimerを用いてReal-Time PCR (RT-PCR)を行った。【結果】Podocin mRNAはCsA投与前 [中央値: 33.9 (6.4-428.0) mRNA/gCr以下同様]と比較してCsA投与後 [1202.3 (37.8-1879.8)]と有意に増加した (p=0.0472)。synaptopodin mRNAもCsA投与前 [104.8 (58.0-351.1)]と比較してCsA投与後 [739.8 (347.2-4596.6)]と有意に増加した (p=0.0163)。 2.尿中ポドカリキシンの検討【方法】CsA投与前から尿所見が改善するまでの間、継時的に尿検体を採取し、ELISA法で尿中ポドカリキシンを測定した。【結果】CsA投与開始前、尿中ポドカリキシ(3.5μg/gCr)であったが、開始1か月後に一旦低下(0.7μg/gCr)し、尿所見正常化した後は、再度増加した。 【結論】今回の結果からHSPNに対するCsAの作用機序としてポドサイトの修復に関与していることが示唆された。
|