2013 Fiscal Year Research-status Report
小児肥満発症の予防に向けた乳幼児期の体重増加に影響する周産期・遺伝的因子の解明
Project/Area Number |
25860893
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
荒木 俊介 産業医科大学, 大学病院, 助教 (20515481)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児肥満 / 周産期 / DoHaD |
Research Abstract |
本研究は総合周産期母子医療センターとしての特色を生かして、基礎疾患を持つ妊婦から出生した児や子宮内発育不全児、極低出生体重児など将来の肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病発症のハイリスク群を対象として、生後の発育および生後発育に影響する周産期因子の確立を目標としている。 今年度は(1)産婦人科との共同研究として胎盤のアミノ酸輸送能の評価、(2)極低出生体重児の生後発育評価、(3)乳幼児肥満症例におけるSNPs解析、を開始した。 【結果】(1)妊娠高血圧症、妊娠糖尿病、子宮内胎児発育不全例では胎盤のアミノ酸輸送蛋白およびmammalian target of rapamycin(mTOR)の発現の亢進を認めた。(2)3歳に達した極低出生体重児48例の検討では、SGA児でBMIリバウンドが早期に起き、3歳時のBMIと修正40週のBMIが相関していたが、母親のBMIとの関連性は無かった。(3)小児肥満4症例においてFTO遺伝子、BDNF遺伝子、MC4R遺伝子のSNPs解析を行った。 【考察】母体の基礎疾患は胎盤のアミノ酸輸送に影響を与えることが明らかになり、胎児のアミノ酸代謝にも大きな影響を与えることが示唆された。このことが、将来の生活習慣病の発症に関与するかについては今後の重要な課題である。また、極低出生体重児では修正40週における体格と3歳時の体格に強い関連性があり、出生後の体重変化が将来の体格の決定に重要である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は胎盤機能評価や臍帯血中の液性因子などを含んだ周産期における様々な因子について評価を行った児を、出生後も経時的な体格の変化や代謝異常の発症について検討していく予定である。しかし、症例数が目標の半数程度であり、出生後のフォローアップ体制についても十分に機能せず、脱落している症例がある。また、SNPs解析については予定より症例数が少ないことと同意を得られないことなどにより目標症例数に達していない。 今後は体制の整備を進め、目標症例数に達することを目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当院で出生した症例における胎盤機能評価や臍帯血中の液性因子などを含んだ周産期因子について症例数を増やして検討を進めていく。また、乳幼児肥満におけるSNPs解析についても症例数を増やす必要があるため、講演会やホームページ、冊子(小児肥満の予防の重要性についての冊子を作成済み)配布などのリクルート活動を進めていく。さらに出生後のフォローアップシステムについても強化を進め、胎盤機能の差異と出生後の体格の変化や代謝異常についても検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
症例数が目標に達せず、液性因子およびSNPs解析のための費用が予定以下であったため。 胎盤の機能解析、臍帯血中の液性因子測定のためのELISAキット購入及びSNPs解析用の試薬の購入を行う。また、検討症例数を増やすためのリクルート活動および成果発表用の旅費等に使用する予定である。
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