2014 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞組織球症の病態解明と選択的治療へ向けた基礎的研究
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25860894
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
本田 裕子 産業医科大学, 医学部, 助教 (10566409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / LCH / 骨融解 / RANKL / RANK |
Outline of Annual Research Achievements |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)はCD1a陽性ランゲルハンス細胞の腫瘍性増殖性疾患で、化学療法により生命予後は改善したものの約30%が再燃すると言われている。特に骨病変での再燃が多いが、そのメカニズムはまだ明らかになっていない。この研究ではLCH患者における骨病変発症の原因をRANKL/RANK system異常から解明することを目的としている。 小児領域では、先天的な遺伝子変異により骨吸収や骨形成の均衡に異常をきたし、結果的に骨融解が生じるような家族性広汎性骨融解症や早期発症骨パジェット病、大理石病などが知られている。いずれの疾患も非常に稀な疾患ではあるが、RANKの恒常的活性化により骨融解を生じることが分かっている。そのため、当院でフォローしているLCH患者の骨融解に関わるとされるこれらの遺伝子異常を現在測定中である。 2014年度には当院でフォローアップしている6例のLCH患者のRANK遺伝子変異の測定を行ったが、いずれも異常は認められなかった。また、そのうち乳幼児の多臓器型LCH(皮膚と肺病変)の新規症例を認めた。骨病変はなく、RANK遺伝子変異も認めなかった。しかし、本症例では皮膚病変に疥癬を合併したという非常に稀な症例であり、臨床所見・皮膚病理所見では両者の皮膚病変は非常に類似し、鑑別が困難であることがわかった。特に乳児では皮膚病変を高率に合併するため、臨床に必要な情報として学会発表を行った。また、単独骨病変の1例に再燃を認めた。しかし、自然軽快しており、本症例においても遺伝子異常は見つかっていない。 今後も症例を蓄積して解析を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LCHの発症率は全国でも年間60-70人と非常に少ない。またそのうち再燃する患者の割合も30%であり、解析症例数が少ないことが原因に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
予想以上に新規患者数が少なく、症例数が滞っているため、現在フォローしている症例に対して新たな遺伝子変異の測定を行うことを予定している。また、疥癬を合併した乳児のLCH症例に対しても、臨床的に有用な情報として論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新規の症例が少なく、また再燃例も1名のみで自然軽快したという経過であったため、物品費等が予定より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度も引き続き、集積した検体の中から新たな遺伝子変異の検索を行う予定である。そのため、昨年度から繰越した予算が必要となる。
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Research Products
(2 results)