2015 Fiscal Year Annual Research Report
ランゲルハンス細胞組織球症の病態解明と選択的治療へ向けた基礎的研究
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25860894
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
本田 裕子 産業医科大学, 医学部, 助教 (10566409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / 小児 / 骨病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)はCD1a陽性ランゲルハンス細胞の腫瘍性増殖性疾患で未だ病因不明である。現在多剤併用化学療法によりその生命予後は改善されたものの、約30%が骨病変で再燃する。しかし、現時点で再燃のリスク因子やLCHの骨病変発症のメカニズムについては明らかにされていない。 今回、当院でLCHと診断された小児例を対象とし、既に報告されている先天的な遺伝子変異により破骨細胞の形成・機能に異常をきたす疾患と同様な遺伝子異常が認められるのかどうかを検討した。これまでの報告によりLCH患者においては、骨融解に作用する炎症性サイトカインであるIL-6、TNFαが有意に高値であり、IL-6、TNFαが骨芽細胞や間質細胞に働きreceptor activator of NF-kappaB ligand (RANKL)発現を介して骨融解を促していると推測されている。RANKL/RANK系の先天的な遺伝子変異により骨吸収や骨形成の均衡に異常をきたし、結果的に骨組織が病的状態に至る疾患として家族性広汎性骨融解症や広汎性骨格性高ホスファターゼ症、早期発症骨パジェット病、大理石病などが知られており、これらの遺伝子変異がLCH患者においても認められるかどうかを検討した。 初発時年齢2か月から14歳の8例を検討した。7例は骨症状を有しており、1例は皮膚と肺病変で発症した乳児例であった。7例は化学療法、1例は無治療で症状消失しており、研究期間中に再燃した症例は認めなかった。寛解時における患者の検体ではRANK遺伝子変異、OPG遺伝子変異、RANKL遺伝子変異を有する症例は認めなかった。しかし、LCHは非常にまれな疾患であり、治療開始前や再燃時においての検討が不十分であり、症例をさらに増やして検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(2 results)