先天性小耳症・外耳道閉鎖症を引き起こす発現遺伝子の網羅的解析

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25860902
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 船本 聖絵 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (30570030)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: ビタミンA（レチノイン酸） / 小耳症 / 胎児心電図

Outline of Annual Research Achievements

妊娠中のビタミンA（レチノイン酸）過剰摂取は、胎児に小耳症（外耳道閉鎖症）・心奇形・手足（四肢）骨格異常などの先天的な催奇形性をもたらす物質として広く知られている。本研究では初期～中期妊娠マウスへ様々な濃度（0-15,000IU）のビタミンAを、いくつかの発生ステージ（E7.5/E9.5/E11.5）に分けて投与し、耳介発育を観察した。また小耳症は心奇形など広くスペクトラムを示す事から、胎児期の心電図測定や新生仔の四肢骨格の骨密度イメージングを行った。
耳介発育観察の結果、正常マウスの耳介は生後３日目頃から起立し、１０日目頃から外耳道が形成し始める事がわかった。しかしながら高濃度(7,500IU-)ビタミンA投与群は発生ステージに関わらず、生後48時間以内に全仔が死亡した為、耳介形成の観察が不可能であった。低濃度(-4,500IU)ビタミンA投与群においては、死亡する事無く成長を続けつつも残念ながら耳介形成に異常は見られなかった。
一連の実験のまとめとして奇形のフェノタイプを分類した結果、濃度およびステージの違いにより発育状態に変化が生じた他、高濃度ビタミンA(7,500IU-)投与群においてのみ無耳症・耳介の奇形や心奇形や四肢骨格の異常が確認された。特に四肢骨格の異常はE9.5の発生ステージに重症化、さらに胎仔の心電図より電気伝導系の異常が確認された為、遺伝子解析により心筋細胞のチャンネルに関する遺伝子の発現量に差異が認めたれた。