2013 Fiscal Year Research-status Report
抗Aレセプター抗体を用いた周産期脳障害の治療法開発
Project/Area Number |
25860907
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齊藤 明子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50615276)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 周産期脳障害 / 低酸素性虚血性脳症 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目標は、ある種の炎症性サイトカインの受容体に対する抗体である抗Aレセプター抗体を用い周産期HIEに対する新規治療法を開発することである。 今年度は、研究環境、設備が変わったため、マウスモデル作製の確認、および、抗Aレセプター抗体投与による梗塞軽減効果の確認を行った。 7日齢 (P7) の新生仔マウス(C57BL/6)の左総頸動脈を2重結紮、切離し、その後低酸素インキュベーターを用い、8%酸素負荷を行った。様々な低酸素負荷時間で確認したところ、40分間負荷をかけることにより片側に適度な受傷が起こることを確認した。 抗体投与群では抗体100μg/体重(g)を、対照群では同量のrat IgGを、低酸素負荷の直前に腹腔内投与した。負荷から48時間後に各群同部位の脳切片6枚の2,3,5triphenyltetrazolium chloreide(TTC)染色を行い、平均虚血面積を比較したところ、抗体投与群で有意に小さかった。また、同様に実験を繰り返したところ、低酸素負荷のかかり具合により、抗体投与による虚血面積減少効果が異なる可能性が見出された。対照群での平均虚血面積=Aとした時、各施行回を①A≦5%、②5<A≦10%、③A>10%の3群に分け、両群の虚血面積を比較したところ、③群でのみ、平均虚血面積が有意に小さかった。すなわち、ある程度の負荷が加わった場合(中等症から重症)のみ抗体投与の効果があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、予備実験の際に、モデルの確立、および簡易的な評価による効果の確認をすでに行っていたが、研究施行施設の変更により低酸素負荷をかける装置が違うものとなったため、再度モデル作製の条件設定が必要であった。至適条件を決めることに当初の予定より時間がかかってしまい、研究計画の遅れにつながってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織学的手法、生化学的手法を用いて、以下の観点から抗体投与の効果の機序を解明する。 ①細胞死抑制・apoptosis の評価として抗active caspase 3抗体を用い免疫組織学的に、またp-Stat3, p-Akt, ERK 1/2, cytochrome cを生化学的に評価する。②抗炎症・炎症マーカーの一つと言われている(活性化)マイクログリア数を免疫組織学的に調べる。③オートファジー LC-3 I,IIを生化学的に調べ、抗Aレセプター抗体による治療効果のオートファジーの関連を評価する。④神経新生・低酸素虚血負荷後5-bromo-2'-deoxy-uridine(BrdU)を腹腔内投与し、神経特異的なマーカー(NeuN)と抗BrdU抗体を用いて免疫組織学的に抗体投与による神経新生の変化を調べる。 行動実験による評価 学習障害や運動障害の軽減効果を確認する。学習能力については、novel object recognition test、受動的回避反応、水迷路試験を施行する。運動能力については、CatWalk XT 9を用い歩行障害に関して詳細に評価する。その他、cylinder試験、回転棒試験、傾斜板試験(受傷後早期)による評価を行う。また、open field試験により基本行動解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデルの確立に時間がかかり、モデルを使っての検討が遅れている。当初予定していた抗体の購入も次年度とした。 当初の予定の通り、実験動物、抗体などの免疫関連試薬、細胞培養に使用する薬品などに用いる。
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