2014 Fiscal Year Research-status Report
臍帯血流予測シミュレーション技術とそれを用いた臨床胎児状態評価支援システムの開発
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25860923
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
森 大祐 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50451539)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 臍帯血流 / 計算流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(平成26年度)に実施した研究の成果は以下である。 1.拍動流入条件における臍帯血流解析:前年度(平成25年度)に実施した臍帯血流のコンピューターシミュレーションでは第1段階として血流の拍動は考慮せず定常流れの解析であった。これに対し、当該年度においては生体内のより現実的な拍動性を考慮し、臍帯血管直径4mmに対して最大流速0.7m/s、周期0.4sの正弦波形を入口流入条件として与え臍帯血流のシミュレーションを実施した。 2.臍帯血管形状が血流波形に及ぼす影響の調査:拍動流入条件を用いたシミュレーションの実施により、胎児の状態評価で用いられる血流波形に対して臍帯血管の形状がどのように影響するのかを明らかにした。コイル形状を示す臍帯血管の1巻に対するピッチを8~48mmの範囲で変化させ解析し、捻転の程度が血流波形に及ぼす影響を調査した。また、血流波形の測定方向による波形の変化についても検討した。 3.臍帯動脈血流計測シミュレータのプロトタイプの構築:前年度に確立したパラメトリックな臍帯血管の形状モデリング、および、上述の成果により、臍帯動脈血流計測シミュレータのプロトタイプの構築が達成できたと言える。今後は、これをプロトタイプとして、個別胎児のリアリスティックな臍帯血管モデルの構築、および、血流波形の入力、並びに、各種の血流測定データ提示機能を付加し、臨床応用を想定したシミュレータの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は前年度に確立したパラメトリックな臍帯血管モデルリングに対して正弦波で近似した拍動流入条件による血流解析を実施した。理想的な形状、および、流入条件ではあるが、種々の臍帯血管形状と血流波形の組み合わせで臍帯血管内の血流を解析することが可能となった。解析結果を基に、臨床における胎児状態評価で用いられる超音波計測などによる血流波形と臍帯血管形状との関係について検討した。これらの研究実施過程を通して、今年度の目標としていた臨床医療現場での応用を想定した超音波臍帯動脈血流計測シミュレータのプロトタイプシステムの構築はおおむね達成できた。平成26年度は、このプロトタイプシステムの構築と並行して、個別胎児を対象とした臍帯血管モデルの計算流体力学的解析を試みることをもう一つの目標としていたが、これについては達成できなかった。しかしながら、プロトタイプシステムの構築が達成できたことから、今後システムの実用性を高めることにより、平成27年度中に目標を達成できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は前年度に構築した超音波臍帯動脈血流計測シミュレータのプロトタイプシステムの実用性を高めるとともに、臨床応用の可能性について検証する。臨床医療現場のニーズを調査、また、アドバイスを受け、インターフェイスの拡張、解析結果表示の拡張、データベース構造のブラッシュアップなどを図る。このシステム構築・改良と並行し、平成26年度中に達成できなかった個別胎児臍帯血管モデルの計算流体力学的解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初の予定として、超音波診断装置一式に約1,000千円,計算機システムの運用・整備に約400千円,旅費に約100千円,流れ計測用実験装置一式に約300千円を計画していた.この計画に対し、超音波診断装置については協力を仰ぐ医療機関所有の装置を医療従事者の下で使用することとし本研究費により購入することを取りやめた。その代わりとして、開発するシミュレータの実用性を検証するための流れ計測用実験装置の整備のために当初よりも高額な1,038,537円を支出した。また、計算機システムの高性能化を図るため、その整備に当初よりも高額な669,695円を支出することとなった。旅費については1件の研究発表について出張を伴ったが、他の経費によりまかなうことが可能であったので、本年度の支出は無かった。その他の消耗品として34,884円の支出があった。結果として、本年度の予定所要額1,784,918円に対して、次年度使用額40,668円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究費の当初の使用計画としては、主に開発シミュレータの構築に係るインターフェイス機器,計算機システムの運用に係る物品,学会参加および論文投稿による研究成果公表のための費用であるが、今回生じた次年度使用額はインターフェイス機器、あるいは、計算機システムに係る物品の整備に充てる。
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