2014 Fiscal Year Annual Research Report
転写抑制因子として機能するセリン/スレオニンキナーゼの肉芽腫形成への影響
Project/Area Number |
25860933
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中野 倫代 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20645634)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肉芽腫 / ブラウ症候群 / 若年発症サルコイドーシス / NOD2 / NF-κB / HIPK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシス(EOS)は、NOD2遺伝子の変異を基盤とし、明らかな外来因子の存在なしに肉芽腫をきたす疾患であるが、なぜNOD2の活性化が肉芽腫の形成に関わるかは依然として不明である。EOS患者の末梢血でNOD2を発現するCD14陽性細胞より単離したmRNAに発現する遺伝子網羅解析の結果,転写抑制因子として機能するセリン/スレオニンキナーゼHIPK2(homeodomain-interacting protein kinase 2)の発現亢進を認めた。この結果より,我々はNOD2変異が関わる肉芽腫形成の候補遺伝子としてHIPK2に着目し検討した。代表的な変異NOD2遺伝子をウイルスベクターを用いてHEK293細胞に遺伝子導入し、HIPK2のmRNAおよびタンパクの発現を検討した実験では、いずれも発現は認めるものの、野生型と比べ発現亢進を認めなかった。そのため、よりEOS患者の状態に近い単球系のTHP1細胞に変異NOD2遺伝子をAmaxa法を用いて導入し、同様に検討したが差異は認められなかった。次に、HIPK2の過剰発現が、NOD2の発現やNF-κBの転写活性に影響を与えるか評価するため、THP1細胞よりHIPK2のDNAを抽出し、HIPK2を過剰発現するウイルスベクターを作成した。HIPK2を過剰発現するウイルスベクターをTHP1細胞に導入し、NOD2の発現やNF-κBの転写活性に差異が認められるか検討を試みたが、THP1細胞への遺伝子導入がAmaxa法を用いても困難であったため、検討を行うことができなかった。また、HEK293細胞にHIPK2とNOD2遺伝子を同時に遺伝子導入したところ、HIPK2はNOD2の発現を亢進させ、そのためNF-κBの転写活性も亢進した。したがって、HIPK2遺伝子はNOD2遺伝子の発現を亢進させることで、肉芽腫形成を促進する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)