2013 Fiscal Year Research-status Report
STAT3阻害剤(ヒト型rR9-GRIM19タンパク)を用いた抗腫瘍効果の検討
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25860941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岡本 崇 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (30402043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | stat3 / メラノーマ / 悪性黒色腫 / R9 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
担癌宿主において癌局所でのSTAT3の活性化が癌の進展に深く関与していることが多数報告されている。また癌局所での活性化STAT3(pSTAT3)は、腫瘍微小環境の免疫細胞に作用し、免疫抑制を誘導させることが知られている。過去、我々はSTAT3阻害効果のあるGRIM-19タンパクとR9-PTD(タンパク細胞内導入ツール)の融合タンパクrR9-GRIM19を作成し、マウスの腫瘍株を用い、in vitro、in vivoにおいて強力な抗腫瘍効果を得ることに成功した。 本研究ではヒト型rR9-GRIM19タンパクを作成し、様々なヒト癌細胞株に対するヒト型rR9-GRIM19タンパクの抗腫瘍効果を検討し、STAT3経路を阻害する新しい分子標的治療を確立することを目標としている。 当該年度にはヒト型GRIM-19タンパクとR9-PTD(蛋白細胞内導入ツール)の融合タンパクrR9-GRIM19(ヒト型)タンパクを作製、精製した(プラズミドを作成し、大腸菌を用いて蛋白精製を行う)。また、様々なヒト癌細胞株においてSTAT3の活性化(pSTAT3)を検討した(Western blotting、ELISA)。現在、様々なヒト癌細胞株においてrR9-GRIM19(ヒト型)によるSTAT3阻害効果について検討中である。 (Luciferase assay, Quantitative real-time PCR; STAT3下流遺伝子の発現など)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の計画として4つの項目を掲げ、2つは達成できた。2つは現在進行中である。以下達成できた項目について説明する。 ① rR9-GRIM19(ヒト型)タンパクの作成、精製。 ヒトGRIM19分子をコードするプラズミドベクターを購入し、GRIM19をコードする部位をPCRにて増幅した。増幅したcDNAを我々の所持するR9-PTDベクターに挿入し、R9-GRIM19(ヒト型)プラズミドベクターを作成した。その後、当研究室の手法(His-tagを用いたリコンビナントタンパクの精製)にてrR9-GRIM19(ヒト型)タンパクを作成、精製できた。 ② 様々なヒト癌細胞株においてSTAT3の活性化(pSTAT3)を検討する。 過去、我々はマウスの癌細胞株におけるSTAT3の活性化(pSTAT3の発現)につきWestern blot法で検討し、それらの細胞株を用いてrR9-GRIM19タンパクをin vitro, in vivoに導入することで、抗腫瘍効果の検討を行ってきた。今回我々は、ヒト癌細胞株(主に悪性黒色腫)でも同様にpSTAT3に対する抗体を用いてWestern blot法を施行した。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したrR9-GRIM19(ヒト型)タンパクを用いて実際臨床、応用を目標とした基礎研究を進めていく必要がある。以下に方針を列挙する。 1。様々なヒト癌細胞株においてrR9-GRIM19(ヒト型)によるSTAT3阻害効果について検討する。 2。様々なヒト癌細胞株を用い、in vitroにおいてrR9-GRIM19(ヒト型)による抗腫瘍効果を検討する。 3。担癌マウス(ヒト化マウス)の腫瘍塊内にrR9-GRIM19(ヒト型)を接種した場合のin vivoでの抗腫瘍効果を検討する。<課題>ヒト化マウスの入手が可能であるかが問題点である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品がキャンペーンなどで安く購入できた。また、平成25年度に計画した分の実験が完全に終了させることができず、実施中のものもあるため、次年度に繰り越しが額が生じてしまいました。 1。様々なヒト癌細胞株においてrR9-GRIM19(ヒト型)によるSTAT3阻害効果について検討する。→ヒト癌胞株を用いてrR9-GRIM19(ヒト型)タンパクがSTAT3の転写活性を阻害するかどうかLuciferase assayを用いて検討する。また、in vitroにおいて癌細胞株にrR9-GRIM19(ヒト型)投与後のSTAT3の下流遺伝子の発現レベルをQuantitative real-time PCRにて検討する。 2。様々なヒト癌細胞株を用い、in vitroにおいてrR9-GRIM19(ヒト型)による抗腫瘍効果(細胞増殖)を検討する。 3。担癌マウス(ヒト化マウス)の腫瘍塊内にrR9-GRIM19(ヒト型)を接種した場合のin vivoでの抗腫瘍効果を検討する。
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