2013 Fiscal Year Research-status Report
好中球性皮膚症に対する顆粒球吸着療法の奏功機序の解明
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25860943
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤澤 智美 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20585583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 顆粒球単球吸着療法 / 膿疱性乾癬 / 抗中球性皮膚症 / VEGF / VEGFR / 樹状細胞 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
好中球性皮膚症の新しい治療法として、好中球浸潤を主体とする炎症性腸疾患の有効な治療である顆粒球吸着療法(GCAP)が注目されている。しかし、その治療のメカニズムは単なる顆粒球の吸着除去のみでは説明できず、不明な点が多い。そこで、多面的にこの治療法の作用機序を明らかにするため、GCAPの前後をリンパ球、樹状細胞(DC)の面からフローサイトメトリー(FCM)を用いて解析し、さらにこれらの細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響を検討した。岐阜大学治験管理委員会の承認を得て、同意を得た好中球性皮膚症患者に対してGCAP を週1回、計5 回実施した。カラム開始前(A)、15 分後の安定した時期のカラム流入前(B)と流出直後(C)、60分間のGCAP 終了後の末梢血(D)を各回毎に採取した。顆粒球、単球、リンパ球数の変化を検討し、さらに細胞表面マーカーを用いたFCM、および磁気細胞分離法(MACS)によりTh1、Th2、Th17、Treg、DCの各画分の変化を検討した。 (B)と(C)画分の差からカラム内での吸着、(A)と(D)を比較することによりカラム後の末梢血内細胞表面マーカーの変化を観察した。その結果、GCAP後にはproinflammatory monocyteが減少することが明らかになり、結果をFujisawa T, et al. Acta Derm Venereol. 2013; 93: 364-5.で報告した。 現在はin vitroの実験としてセルロースアセテートビーズを充填したミニカラムを作成し、健常人血液を注入を行っている。カラム注入前/後およびカラム内に吸着した顆粒球、単核球を採取し、同様にリンパ球、DCの変化を測定しているが実験条件の設定に苦慮している。今後は好中球性皮膚症の患者血液でも同様の操作を行い、細胞表面マーカー発現変化の差異を健常人血液と比較する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好中球性皮膚症の患者として膿疱性乾癬・関節症性乾癬・掌蹠膿疱症の患者より同意を得たうえで検体を採取した。カラム開始前、開始15分後、30分後、60分後に採取し顆粒球、単球、リンパ球数の変化を検討した。開始後から30分をピークとして末梢血中の顆粒球は半減し、その後代償されて開始時とほぼ同程度まで回復することが分かった。In vitroでの実験では吸着が安定する15分を目安とした。 GCAP施行前後での採血より単球・リンパ球を遠心分離し、さらに細胞表面マーカーを用いたフローサイトメトリー、および磁気細胞分離法(MACS)によりTreg、DCの各画分の変化を検討した。カラム内での吸着、(A)と(D)を比較することによりカラム後の末梢血内細胞表面マーカーの変化を観察した。DCに関しては膿疱性乾癬ではFujisawa T, et al. Adsorptive depletion of CD14(+) CD16(+) proinflammatory monocyte phenotype in patients with generalized pustular psoriasis: clinical efficacy and effects on cytokines, Ther Apher Dial 16: 436-444,2012で一部報告した。他の好中球性皮膚症の患者も含めて検討中であるが、その一部は、Fujisawa T, et al. Combination therapy of infliximab and granulocyte/monocyte adsorption apheresis for refractory pustular psoriasis with psoriatic arthritis Acta Derm Venereol 93: 364-365,2013 と、Fujisawa T, et al. Efficacy of granulocyte and monocyte adsorption apheresis for treatment of palmoplantar pustulosis Ther Apher Dial; in press において発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin vitroでのミニカラム処理前後の細胞画分の変化を中心に行いたいと考える。セルロースアセテートビーズを充填したミニカラムを作成し、健常人血液を注入する。カラム注入前、注出後およびカラム内に吸着した顆粒球、単核球を採取し、細胞表面マーカーを用いたフローサイトメトリー、MACS でTh1、Th2、Th17、Treg、DC の変化を測定する。また、好中球性皮膚症(膿疱性乾癬、壊疽性膿皮症、ベーチェット病、スイート病)の患者血液でも同様の操作を行い、細胞表面マーカー発現変化の差異を健常人血液と比較する。 GCAPあるいはミニカラムにより得られた各細胞画分のサイトカイン産生能の検討するため、これまでの実験、すなわちGCAP およびミニカラム実験からフローサイトメトリーおよびMACS により各細胞画分を得る。これらをリポ多糖(LPS)〔LPS:10μg /mL〕で刺激後培養に供し〔Cell:1.0×10mL〕、LPS 培養上清中のサイトカイン・ケモカイン(TNF-α、IFN-α、IL-1β;、IL-6、IL-8、 IL-12、IL-17、IL-20、IL-22、IL-23、MIP-1、MCP-1) 濃度と、細胞中のサイトカイン・ケモカインmRNA をRT-PCR を用いて測定する。
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