2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウスモデルをプラットフォームとした乾癬の分子標的薬スクリーニングの確立
Project/Area Number |
25860949
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
寺石 美香 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40437736)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乾癬マウスモデル / 血管内皮接着分子 / 乾癬治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬マウスモデル(K5.Stat3Cマウス)に生じる乾癬様皮疹に対して治療効果をもつ薬剤を見出すべく、VAP-1阻害剤に着目した。VAP-1は血管内皮接着分子として同定された分子であり、炎症性疾患の病変部で白血球遊走やサイトカインの放出に関与するとされている。乾癬患者では健常人に比べ、血清中および皮膚組織中の血管壁のVAP-1タンパクの増加が確認されている。 まず、K5.Stat3Cマウス皮膚組織でのVAP-1発現を確認、K5.Stat3Cマウスを2群に分け、VAP-1阻害剤もしくは生理食塩水(コントロール溶媒)を腹腔内投与した。それぞれの群で0.68nmol TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)を右耳、アセトンを左耳に塗布したところ、右耳にのみ乾癬様皮疹が誘導された。臨床症状および炎症による耳介の肥厚はVAP-1阻害剤投与群とコントロール群において有意な差を認めなかった。両側耳介皮膚を採取し、病理組織学的な変化、real-time PCR法によるIL-17A、IL-17F、IL-22、IL-23p19、S100A8、β-defensin、TNFαなどの乾癬の病態に関与する遺伝子発現の変化を検討したところ、遺伝子発現に関してVAP-1阻害剤投与群とコントロール群に有意な差を認めなかったが、病理組織学的には乾癬の皮疹に特徴的な表皮の肥厚に関しては、VAP-1阻害剤投与群はコントロール群の約75%ほどの肥厚にとどまり、有意差を認めた。以上の事実より、乾癬マウスモデル系での皮膚炎症に血管内皮細胞から分泌されるVAP-1が関与する可能性が示唆された。VAP-1阻害が乾癬の新しい治療戦略の一つとなり得る。
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