2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860952
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
冨田 元 長崎大学, 大学病院, 助教 (30457535)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 細胞遊走 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
1. 創傷時の表皮、間葉系細胞、炎症細胞の遊走に対する細胞外マトリックスの関わり … 実際にマウス創傷部でバーシカンが経時的に変化するかを再検討した。創傷治癒過程のある一定の時期においてバーシカンは著明に発現し、その後は抑制されていた事がわかった。よって、ある一定の時期においてバーシカンは創傷治癒を調節していることが示唆された。 2. マウスの線維芽細胞でRNAi法を用いてバーシカンを抑制した際に変化する分子の同定 … マウスの線維芽細胞のバーシカン発現を抑制することでCcl6、Srpx2、Smoc2の発現が著明に上昇した。これらは炎症細胞の遊走や、血管新生に深く関わる分子であり、バーシカンはこれらを介して創傷治癒を調節している可能性が考えられた。 3. 研究の成果の意義と重要性 … 創傷治癒にバーシカンがどのように関わっているかはまだ分かっていない。そこで、創傷治癒に対して何らかの調節を行っている可能性が高いことを明らかにした。今後は系統的な研究を行っていくことで創傷治癒におけるバーシカンの役割を明らかにする事ができると考えた。 4. 今後の研究の展開に関する計画 … (1) 実際にin vivoにおける創傷治癒過程でCcl6、Srpx2、Smoc2の発現がどのように変化しているかをバーシカンの発現と経時的に対照させて計測する。それによってバーシカンがCcl6、Srpx2、Smoc2を介して創傷治癒を調節しているかを確認することが出来る。 (2) in vivoの実験系においてRNAiを導入することでバーシカンを抑制させ、創傷治癒がどのように変化するかを確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoの実験系においてバーシカンのRNAiの導入が非常に困難であり、別の方法、実験系で同様の研究が出来ないかを模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. in vivoにおける創傷治癒過程でCcl6、Srpx2、Smoc2の発現が経時的にどのように変化しているかをバーシカンの発現と対比させて確認する。ここではRNAiによってバーシカンを抑制した場合に上昇した分子が、in vivoの創傷治癒過程における抑制する時期でどのように変化しているかを実際に確かめることを目的としている。 2. in vivoにおける創傷治癒過程のなかでバーシカンの発現を抑制させて、創傷治癒過程にどのような変化が起こるのかを確認する。具体的には創傷治癒過程における傷の大きさ、組織学的な上皮間距離、肉芽組織の面積、新生血管の面積、マクロファージや肥満細胞等の炎症細胞の数を計測する。バーシカンを抑制することで、本来発現するべき一定の期間と、その後に続く創傷治癒過程がどのように変化するかを確認することで、バーシカンの創傷治癒に対する役割が明らかになると考える。 3. トランズウェルの実験系を用いてバーシカンを抑制したマウスの線維芽細胞の遊走能の変化を確認する。その際にCcl6、Srpx2、Smoc2の発現も同時に確認することで実際に線維芽細胞の遊走能に影響を与えているかを確認する。また、同様の実験系を用いてバーシカンを抑制した線維芽細胞がマクロファージなどの炎症細胞の遊走能に与える変化を確認する。同様にCcl6、Srpx2、Smoc2の発現も同時に確認する。 4. in vitro reconstitutionの実験系を用いてバーシカンを抑制した線維芽細胞が癌細胞の浸潤に影響を与える事ができるかを検討する。同様にCcl6、Srpx2、Smoc2の発現も同時に確認する。 5. ヒトの癌組織におけるバーシカンならびにSrpx2、Smoc2の発現を免疫染色を用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度にはこれまで系統的に当教室で行われた研究に即したものであったため、費用があまりかからなかった。 実験動物維持費、購入費:80万 抗体、試薬(RNAi導入、免疫染色、トランズウェル、in vitro reconstitutioなど):135万、PCRプライマー、プローブ:80万
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