2015 Fiscal Year Research-status Report
角層pH調節機構の異常がアトピー性皮膚炎を誘発する
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25860958
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
酒井 貴史 大分大学, 医学部, 助教 (20624290)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 角層pH / フィラグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25、26年度は、アトピー性皮膚炎(AD)様の皮膚炎を自然発症するマウス(flaky tail)を用いて、角層pHとADとの関連性を示してきた。平成27年度は、以下に示すADと角層pH、双方に関連のあるフィラグリン(FLG)をテーマとした研究、そして、角層pHの弱酸性維持をADの治療に応用する研究を実施した。 1.培養表皮角化細胞において、AD発症および角層pHの恒常性に寄与するFLGをsiRNAでノックダウンし、表皮角化細胞が産生する炎症性サイトカインについて検証を行った。FLGをノックダウンした群では、IL-1α、IL-8、IL-18、GM-CSFの遺伝子発現量、産生量が、コントロール群に比べて増加しており、ADの病態にFLGの発現がどのように関与しているのか、その機序の一端を示すことができた。 2.角層pH制御を利用した、ADに対する新規外用治療開発の研究を行った。具体的には、角層pH上昇からTh2型炎症への流れを抑制するprotease-activated receptor (PAR)2 antagonistと、酸性物質であるlactobionic acid (LBA) の、ハプテン誘導性ADモデルマウスに対する外用効果を検証した。PAR2 antagonist、LBAそれぞれの単独外用より、両者の併用がより強力にADの症状を改善させた。この結果は、既存のAD治療に加え、角層pHを弱酸性に保つことによって、より高い治療効果が得られる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた動物実験、細胞培養実験において、本研究テーマである、アトピー性皮膚炎と角層pHとの関連性を示すことができ、論文化されたものもあることから、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
角層pHとアトピー性皮膚炎(AD)との病態関連に、フィラグリン(FLG)が重要な役割を担っている、との仮説のもと、研究をすすめていく方針である。具体的には、FLGをノックダウンした三次元培養表皮に対して、外的に角層pHを変動させ、培養表皮の恒常性についてコントロール群と比較する、同様の実験をFLG-KOマウスで実施する、ことなどを検討している。
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Causes of Carryover |
計画通り使用したが、見積もり等で購入方法を考慮し、実際より安価で試薬等を購入できたため若干の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額を平成28年度に計画している、前述のFLG-KOマウスを使用した実験、表皮角化細胞培養実験に使用したい。
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Research Products
(6 results)