2014 Fiscal Year Annual Research Report
宮古島に多発するカポジ肉腫とHHV8潜在感染率の疫学的調査と輸血の安全性について
Project/Area Number |
25860961
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
林 健太郎 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (50631991)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カポジ肉腫 / HHV8 / ヒトヘルペスウイルス8型 / 沖縄 / 宮古島 / ウイルス発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で発症するカポジ肉腫のほとんどはAIDS関連型カポジ肉腫であり、非AIDS関連カポジ肉腫は非常にまれである。しかし沖縄、特に宮古島では例外的に非AIDS関連カポジ肉腫を多発する。沖縄県内で過去31年間に57例の非AIDS関連カポジ肉腫症例を経験したが、そのうち29例(51%)が宮古島出身者であった。 宮古島でカポジ肉腫が好発する理由を明らかにするため、宮古島においてHHV8感染率調査を行い、感染率が15.37%(1132人中174人)と、日本の一般集団での感染率1.4%、沖縄本島の那覇市での感染率1.43%に比べ、約11倍と非常に高いことが判明した。感染率は年齢を増すごとに高くなる傾向があり、男女差がほとんどない。 一方、人口10万人中のカポジ肉腫の発症率は宮古島で1.76であるのに対し、他の沖縄諸島においては0.05と計算され、宮古島においては35倍カポジ肉腫を発症している発症率となり、HHV8の高い既感染率以上に宮古島ではカポジ肉腫が発症しやすいことが示唆された。 現在は宮古島のカポジ肉腫患者由来のHHV8全ウイルスゲノムの解析を進めており、カポジ肉腫の高発症率に関与するウイルス変異の有無を確認するとともに、遺伝性カポジ肉腫の原因として報告されている数個の遺伝子を中心に、宮古島でのカポジ肉腫患者に共通の変異がないか解析をしたいと考えている。 今回の研究で、沖縄県宮古島地方においてHHV8感染率が非常に高いことが初めてわかった。日本では現在は献血の際のスクリーニング検査にもHHV8感染の確認は含まれない。本ウイルスが輸血を介して感染する可能性があるのか、また当地での正確な感染経路の把握と予防対策の必要性につき、公衆衛生学的な課題が残る。
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