2014 Fiscal Year Research-status Report
皮膚におけるインターロイキン36の活性化に関する研究
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25860972
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山本 雅章 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60624640)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サイトカイン / 炎症性角化症 / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトにおけるIL36関連遺伝子の変異の探索とIL-36γを表皮特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製し、その表現型を解析する研究計画を実施している。変異探索については、昨年度までに、膿疱性乾癬患者7名に対して遺伝子変異探索を行い、2例にIL36RNの変異を同定した。1例は家系内に尋常性乾癬と関節症性乾癬があり、IL36RN変異をホモにもつ膿疱性乾癬で、他の1例は兄弟に膿疱性乾癬があり、IL36RN変異はヘテロであった。従って、IL36RN欠損が病態に関与するDITRAに相当すると考えられた。平成26年度は膿疱性乾癬1例、関節症性乾癬1例、原因不明の炎症性角化症家系についてIL-36ファミリー遺伝子の変異解析を行ったが、変異は検出されなかった。一方、IL-36γを表皮特異的に発現するマウスについては、K14プロモーター下にIL-36γ遺伝子を持つトランスジーンを作製し、マウス受精卵に注入して得た71匹のマウスの内、11匹にトランスジーンが陽性であった。耳介皮膚におけるトランスジーンの発現を定量的RT-PCRで解析したところ、対照の野生型マウスではIL-36γ遺伝子の発現は極めて低値であったが、11匹マウスの内6匹で遺伝子発現が10倍以上増加していることが判明した。これらマウスの中で、とくに発現量の多い2系統を樹立し、表現型の観察を行っているが、現在までに、皮膚炎の自然発症はみられていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-36ファミリー分子の変異解析は、従来のサンガーシーケンシングに加え、新たに次世代シーケンサーを用いて、包括的に遺伝子を解析する、より効率的な検出手法を実施できるようになった。IL-36γを表皮特異的に発現するトランスジェニックマウスについては、2系統を樹立でき、研究計画は比較的順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-36ファミリー分子の変異解析は、次世代シーケンサーを用いた包括的遺伝子解析に移行し、複数の遺伝子の解析を一括して実施する研究法が効率的である。ただ、この方法ではイントロン変異の同定や大きな転座による変異の検出が難しいので、RNAベースの解析法と併用することで、正確な遺伝子解析を行いたい。IL-36γを表皮特異的に発現するトランスジェニックマウスについては樹立した2系統について、表現型がない場合には、イミキモドやTPA外用により皮疹の誘発を試みる予定である。
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