2013 Fiscal Year Research-status Report
むずむず脚・周期性四肢運動障害の合併が多いナルコレプシーでの脳内鉄代謝の検討
Project/Area Number |
25860986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菊池 結花 秋田大学, 医学部, 助教 (20534093)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナルコレプシー / 髄液オレキシン / 過眠症 |
Research Abstract |
(1)これまでに20例を検討している。頭部MRIでは、全例に間脳・視床下部周辺の両側性・左右対称性病変を認めた。睡眠学的には、いずれも過眠症状を呈していたが、情動脱力発作を呈した症例はいなかった(いずれの症例も早期に治療をしたことが情動脱力発作の発症を阻止した可能性がある)。髄液オレキシンは低値が6名、中間値が14名であった。これら髄液オレキシン値は、免疫抑制療法後にいずれも正常化した。間脳・視床下部と第四脳室周囲にはAQP4が高発現するため、この抗体を介した免疫学的機序による障害が生じ、さらに同部位に存在するオレキシンニューロンも二次的に障害され、過眠症・ナルコレプシーを来している可能性が考えられた。症候性ナルコレプシーの原因としてAQP4抗体を考慮すべきであることを示すとともに、早期に診断し、不可逆的な障害が生じる前に、ステロイドや免疫抑制療法によって治療介入することが重要であると考えられた。 また稀にではあるが、VB1不足によって生じるWernick 脳症において、間脳・視床下部周辺の両側性・左右対称性病変が生じることがある。そのような症例において、過眠症状を呈して、髄液オレキシンも測定限界以下の低値を示した症例を経験した。VB1の補充によって、画像所見と過眠症状とオレキシン値は徐々に改善を認めた。画像所見はAQP4抗体が陽性の群と似通っているとは考えていたが、病態機序については別個のものと考えていた。しかしながら、文献検索を行ったところ、Wernick 脳症において認められる第3脳室周囲域の病変もAQP4に対するVB1不足によって起こりうるとの研究報告があり(Chan2004)、アクアポリン4(AQP4)関連により2次性の過眠症が起こる病態の1つであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりは症例数は少なめではあるが、統計学的検討を行う症例数は集まっており、病態機序の検討は可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに検討により、特発性のむずむず脚症候群とは異なり、ナルコレプシーでは髄液中のトランスフェリンと鉄イオンが有意に高値であり、鉄代謝が昂進している可能性も考えられる。この所見はオレキシン神経の脱落による1次的なものか、ドーパミン代謝の昂進の代償等による2次的なものであるのかは不明である。 ナルコレプシーでは周期性四肢運動障害が高率にみられるが、治療薬への反応も異なるとされ、鉄代謝の病態生理と合わせて、病態は異なると考えられた。現在は詳細な検討を行っている途中であるが、周期性四肢運動の数(PLMS index)とトランスフェリンの値が正の相関があることが判明している(r=0.61, p=0.045, pearson’scorrelation)。次いで、血清中では正の相関は示さないと考えられるフェリチンとトランスフェリンの値に正の相関があることが判明している(r=0.508, p=0.038, Pearson (parametric), r=0.601, p=0.011, Spearman (non-para) )。鉄イオンと年齢と性別で標準化した%BMIにも正の相関が認められた(r=0.634, p=0.020, Pearson (parametric))。この結果については、栄養状態が良いと想定される%BMIが高値の人ほど、鉄イオンも高値であるのでは無いかと考えている。今後とも計画に沿って、多数例の症例を集積して、脳脊髄液中の測定実験等をすすめて行く予定である。 26年度は当初の予定より多くの症例で、オレキシン値、AQP4抗体を測定したいと考えている。またフェリチンとトランスフェリン、鉄イオンも対象疾患を広げての測定を検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] SYMPTOMATIC NARCOLEPSY AMONG INHERITED DISORDERS, SUCH AS NIEMANN-PICK TYPE C AND MYOTONIC DYSTROPHY TYPE 1.2013
Author(s)
Kanbayashi, T., Imanishi, A., Tokunaga, J., Sagawa, Y., Takahashi, Y., Suda, H., Takahashi, J., Kikuchi, Y., Shimizu, T.
Organizer
Asian narcolepsy symposium
Place of Presentation
Seoul, Korea.
Year and Date
20131112-20131112
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