2014 Fiscal Year Research-status Report
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25861022
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
松本 純弥 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10635535)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質代謝異常 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,これまであまり注目されてこなかった脳内脂質の種類,分布と代謝の観点から統合失調症の分子病態を解明していくことであり,平成26年度にはマルチプレックス法による脂質代謝関連タンパク質を死後脳にて多項目同時測定を実施する準備が整った.マルチプレックス法についてはメルクミリポア社のLuminex 200を用いる予定であったが,オリジナルの測定系確立は難航したため,まずはELISA法などで標的タンパク質を絞った解析を進めて行くこととした.また,Luminex 200の活用については既に系が確立されたキットを用いることによって,関連分子の解析を進めることとした.予備的解析結果自体も,研究発表の価値が高いことから,既に得られているデータについても論文作成は同時に進めている.国内外の学会に参加して関係する研究の最先端の情報を収集し,さらにこの課題の中途の成果の発表を通しての議論や,同じ研究室の研究者だけに留まらず,関連分野の研究者との打ち合わせや関連文献を集めての調査研究からも一定の成果を得た.また,この研究の遂行のためには統合失調症当事者の生の声を直接確認する臨床及び,精神疾患死後脳集積過程への関与が不可欠であるが,関連する書籍も研究し,臨床実務,研究倫理,継続的な研究実施のための研究費の取り扱いや,実地の医療が抱える問題点も精査し,研究成果を現場にフィードバックしていくためにはどのように研究を進めるべきかにも着目して行った.これらの成果に基づき精神疾患での脳内の解析でこれまであまり注目されていなかった系の詳細解明を明らかにすべく,現実的に絞り込まれたマルチプレックス法での測定にて,統合失調症の脳脂質動態の解明を実際の病態の現場である精神疾患の死後脳を用いて明らかにしていくための進展が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では平成26年度までにある程度の実験を終えて,平成27年度は必要に応じた追加実験と,解析結果の検討,発表準備の予定であったが,実際に解析すべき分子はまだ多く,平成27年度にはむしろ測定・解析を中心にする必要があるため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度で解析結果を検討する予定であったが,むしろ精力的にデータを集めることにより,研究成果の最大化を目指す.研究成果を学会や論文にて発表する準備は遅れることになるが,最終的に得られる成果は逆に大きくなることが期待できる.
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Causes of Carryover |
本年度までに測定・解析の準備に多くの時間とコストがかかっているため,実際に本研究での中心的なデータは平成26年度までで得られる予定となっていたものが平成27年度にずれ込んでいることから,平成27年度に多くの助成金を使用することになったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に,これまでの準備や事前の調整,情報収集にて得られている実績に基づき,元々支出の中心を占めるLuminex試薬による測定などでタンパク質測定を実施し,統合失調症死後脳における脂質代謝系の実態を解析していく.
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