2014 Fiscal Year Annual Research Report
大うつ病性障害におけるエスシタロプラムとパロキセチン徐放製剤のランダム化比較試験
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25861033
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
岸 太郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40536801)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大うつ病性障害 / エスシタロプラム / パロキセチン徐放製剤 / 効果 / 安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
大うつ病性障害は、再発を繰り返す疾患であり、十分な寛解、回復を得るためには長期にわたる治療が必要である。一方で、大うつ病性障害治療においては、抗うつ薬治療開始1ヶ月後で約50%が脱落するという調査結果もあり、抗うつ薬の治療継続性を高めることは大うつ病性障害治療の重要な課題である。昨年国内において上市されたエスシタロプラムは、Meta-Analyses of New Generation Antidepressants (MANGA) MANGA study(Cipriani et al., 2009) をはじめ種々のメタ解析の結果から、良好な治療継続性が期待できる薬剤である(Cipriani et al., 2009)。しかしながら、日本人大うつ病性障害と対象としたエスシタロプラムの臨床試験は報告されていない。更には、日本人大うつ病性障害を対象とした、抗うつ薬同士の直接比較試験も報告がない。また、2012年6月に上市されたパロキセチン徐放製剤は製剤的な工夫から、投与初期に問題となる消化器症状の軽減が期待でき,さらに,反復投与時の薬物血中濃度の変動が小さくなることで全般的忍容性の向上とともに治療継続に寄与できる,と報告されている。尚、パロキセチン徐放製剤と他の抗うつ薬を比較したRCTは、世界的にも、現在まで報告がなかった。 研究期間内に約100例の患者をエントリーすることができた。本研究は1部の患者は現在も研究が終了していないため、研究報告提出期限内にすべての患者を包括した解析を行うことができなかった。これまで研究が終了している患者のみでの解析では、効果や安全性に関して両群間で統計学的な有意差は認めなかった。今後全患者を対象とした解析で、結果が変わる可能性があることに注意していただきたい。
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