2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレス脆弱性形成機構としてのミクログリアのエピジェネティクスに関する研究
Project/Area Number |
25861036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山脇 洋輔 広島国際大学, 薬学部, 助教 (90584061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリア / エピジェネティクス / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
うつ病の発症には遺伝的要因に加えて、環境要因などによるエピジェネティックな変化によるストレス脆弱性の亢進などが関与しているとされている。また、近年、うつ病と脳内免疫との関連性が徐々に明らかとなっている。 ミクログリアを含むグリア細胞は脳内免疫において重要な役割を担っていることから、これらのグリア細胞におけるエピジェネティックな変化がうつ病の病態に関連しているという仮説の下、本研究課題を遂行している。 母子分離ストレスによりエピジェネティックな変化に起因するストレス脆弱性が誘発されることが知られている。本研究において、母子分離ストレスを与えた幼少期ラットの脳において、炎症性サイトカイン遺伝子の顕著な発現の変化を見出した。一方で、母子分離後、8週齢に達したラットの脳において、この発現変化は認められなかった。これらの結果は、幼少期のストレスによる一過性の脳内免疫異常がストレス応答および、ストレス脆弱性形成に関与している可能性を示すものである。 現在、本モデルにおけるストレス脆弱性の獲得を内分泌学的および行動学的に証明するとともに、ストレス脆弱性にかかわるグリア細胞の特定および、その機構解明に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において、必要不可欠であったリアルタイムPCR装置の納入が遅れたことに加えて、使用途中における本装置の不具合に見舞われたことが主たる要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
幼少期における脳内免疫異常がグリア細胞に起因するかどうかを各種マーカーを用いて検討する。一方で、母子分離後、通常飼育により成長させたラットにおいて、ストレス負荷後の血中コルチコステロンの変化を観察する一方で、強制水泳試験によって行動学的な変化を観察する。次いで、エピジェネティックな変化に基づいて抗うつ効果を示すHDAC阻害薬を投与することで、上記の変化が是正されるかを検討するとともに、該当グリア細胞におけるHDAC阻害薬による遺伝子発現変化を網羅的に解析し、ストレス脆弱性に関与する候補遺伝子を絞り込み、グリア細胞におけるそれらの遺伝子の機能を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究進度の遅れのため、ラットを用いた解析を予定通りに行うことができなかったため。 幼少期における母子分離ストレス負荷によりストレス脆弱性を獲得したラットが、HDAC阻害薬の投与によって脆弱性を改善できるかを検討する。 次いで、幼少期および成熟後のラット脳においてグリア細胞(アストロサイト、ミクログリアなど)の異常があるかを検討後、異常を示したグリア細胞において、母子分離ストレスおよびHDAC阻害薬による遺伝子発現変化を網羅的に検討する。
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