2013 Fiscal Year Research-status Report
MRIを用いた頭頸部腫瘍における機能情報の非侵襲的画像化に関する研究
Project/Area Number |
25861047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤間 憲幸 北海道大学, 大学病院, 助教 (80431360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / MRI / 腫瘍血流 / 腫瘍増殖能 / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究はMRIを用いて、頭頸部腫瘍における機能的情報(腫瘍増殖能、腫瘍血流、低酸素領域の同定)を非侵襲的に画像化する技術を開発することであるが、初年度である平成25年度は主にそれぞれの画像の基礎的開発、およびそれぞれの機能の指標となるGold standardと開発した画像との比較を中心に行った。 腫瘍増殖能に関しては腫瘍の糖代謝を画像化するFDG-PETをGold standardとした。MRIの技術のひとつであるIVIM法によって得られた遅い拡散成分の情報をもとに疑似的に細胞密度を計測し、間接的に細胞増殖能を反映させた画像を作成した。FDG-PETとの比較では中等度の相関が得られ、増殖能を間接的に画像化することができたが、精度が十分とはいえず、他の画像情報も合わせた上での改良が必要と考えられた。 腫瘍血流に関しては、MRIのASLの技術を用いて腫瘍の血液灌流を反映した画像を取得し、さらにそこから頭頸部腫瘍に準じた定量モデルを作成し、より精度の高い血流画像を得ることが可能であった。造影剤を用いた灌流画像をGold standardとして比較したが、高い相関および一致率が得られた。 腫瘍内の低酸素領域に関しては、磁化率強調像によって算出される静脈内の脱酸素化ヘモグロビン量から腫瘍の酸素化の度合いを間接的に算出する予定であったが、頭頸部領域で問題となる空気などによる磁化率アーチファクトが通常の磁化率強調像のシーケンスデザインでは顕著であったため、撮像法自体の改良が必要であると考えられた。土台となるシーケンスデザインの中の構造を改変、および上述の腫瘍血流の情報も掛け合わせて精度を高めるといった試みを行い、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像化を目標とする機能的情報(腫瘍増殖能、腫瘍血流、低酸素領域の同定)のうち、特に腫瘍血流に関してはASL法を用いた手法をベースとして独自の定量解析を施すことによって、画像化がほぼ完成しており、臨床応用可能な段階まで到達している。腫瘍増殖能に関してもIVIM法をベースとしてGold standardとするFDG-PETと有意な相関がみられるところまで画像化が完成している。低酸素領域に関しては、画像化を検討中であるが、次に施行すべき画像の撮像法の方針も決定しており、順次画像化を目指していく予定である。いずれの機能的情報の画像化も停滞している部分はなく、一定の成果も得られており、おおむね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍血流の画像化はほぼ完成しており、次の段階である臨床応用へ移行する。すなわち、動注化学療法の治療前の術前情報および治療中の中間評価情報として、予後予測因子となりうるか、治療法改善の指標となりうるかを最終的な治療結果(原発制御の有無)と比較して検討する。 腫瘍の増殖能に関しては、IVIM法のみならず腫瘍血流など他の情報も加えた上で精度の向上を目指す。Godl standardのFDG-PETと高い相関が得られれば、それを画像化の完成として、次の段階として前述の腫瘍血流画像と同様に、臨床応用へ移行する。 低酸素領域の同定に関しては、ベースとなるシーケンスのリードアウトなどを磁化率のアーチファクトに強い撮像条件へ改変する。また、前述の腫瘍血流画像などと掛け合わせたほうが精度が高くなるようであれば、最終的に複数の画像を用いた上での、低酸素領域の画像化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年12月の学会で発表する予定だった演題があったが、研究を進めるうちにその演題内容が次年度(2014年)の5月に開催される学会で発表したほうがより学会の趣旨に合致するという見解が得られ、発表予定の学会がひとつ次年度にシフトしたため、その分の旅費に相当するおおよその額が次年度に移行した。 また、機能画像作成において3つの大きなテーマが存在していたが、そのうちのひとつの低酸素領域の同定に関しては、得られた画像の画質が現段階では不十分であったため他の方法も併用して新たに作成することを考えている。ゆえにこの画像作成に必要なものとして購入予定であった解析ソフト、書籍の購入を現時点では行っていない。次年度以降に他の方法も併用して十分な画質の画像を取得したのちに、その解析にもっとも適したものを購入する予定である。 当初の予定にはなかった2014年度の5月に開催される学会の旅費および、2013年度に購入予定であった解析に必要なものをそれぞれ翌年度分としてシフトして請求する予定である。2014年度分の助成金は当初の計画通り使用する予定である。
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