2013 Fiscal Year Research-status Report
移動標的に対するスポット陽子線照射の精度向上に関する研究
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25861049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 妙子 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90590266)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 陽子線治療 / 呼吸性移動対策 |
Research Abstract |
本年度は、日立製作所の協力のもと、呼吸性移動に強い形状のBragg-peakを生み出す移動標的照射用アタッチメントの設計及び制作を行った。まず、動体追跡治療時のマーカー移動データと、シンクロトロンを用いた動体追跡陽子線スポットスキャニング照射の制御パターンから、移動標的に対する動体追跡照射を模擬する照射シミュレーターを作成し、これを日立製治療計画装置と合体することで、移動標的に対する線量分布・治療時間を評価するシステムを構築した。次に、このシステムを用いて、移動標的照射用アタッチメントの設計に必要な検討を行った。まず、アタッチメント配置位置の検討から始めた。呼吸性移動腫瘍の治療においては、陽子線を照射しながら金マーカーの動きを透視でモニタリングするため、透視の邪魔にならないような上流位置にアタッチメントを設置する必要がある。一方で、上流に配置するほど、ビームサイズが広がってしまうため、患者との距離を必要最小限にする必要があった。この解析を、本学の所持する治療計画Structureデータファイル、及び動体追跡の金マーカー移動ログデータを用いて行い、最適な配置位置を求めた。次に、アタッチメントの構造の検討を行った。ビームラインに、緩いBragg-peak勾配を形成するリップルフィルタを入れることで、ビームの広がりを最小限に抑えつつ、腫瘍の動きに強い線量分布の作成を目指した。アタッチメントを入れたビームラインに対する治療計画用ビームデータを、モンテカルロシミュレーションにより作成し、肺がん及び肝臓がんの患者CTおよび医師の作成した標的形状に対して、皮膚線量、静止標的の線量一様性、正常肺・肝臓の線量制限を評価し、臨床利用に堪えられることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画・方法の5つのステップうち、基礎となる(1)申請者らが独自に開発した「シンクロトロンを用いた動体追跡照射時のスポット配置シミュレーター」を治療計画装置と合体させて、より一般的な標的形状の線量計算にまで対応する“移動標的陽子線治療シミュレーター”を構築(2)呼吸性移動に強い形状のBragg-peakを生み出す改良型リップルフィルターの設計の部分を完了させ、(1)を用いた研究を、以下の2つの雑誌で論文化した。 1. Shinichi Shimizu, Naoki Miyamoto, Taeko Matsuura, et al., “A proton beam therapy system dedicated to spot-scanning increases accuracy with moving tumors by real-time imaging and gating and reduces equipment size,” PLoS ONE 01/2014; 9(4):e94971. 2. Taeko Matsuura, Naoki Miyamoto, Shinichi Shimizu, et al., “Integration of a real-time tumor monitoring system into gated proton spot-scanning beam therapy: An initial phantom study using patient tumor trajectory data,” Med Phys, 07/2013; 40(7):071729. また、(2)については、アイデアを特許化し、現在、実際に制作されたリップルフィルタの臨床利用に向けて、実ビームを用いた測定を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、アタッチメントを入れたビームラインに対する治療計画用ビームデータを、実測に基づくモンテカルロシミュレーションにより作成し、アタッチメントを入れたビームラインに対する治療計画を可能にする。それをもとに、呼吸性移動に強い線量計画手法やITVマージン付与方法の検討と確立、動体ファントムを用いた検証実験を行う。更にこれらの結果から、より広い見地に立った呼吸性移動に強い照射機器や画像誘導機器の性能・配置の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究論文の執筆および投稿を優先して行い、当該年度に制作を予定していた動体ファントム飛程変化機能の制作を、次年度に繰り越したため。 動体ファントム飛程変化機能の制作を次年度早期に行い、実際の患者の非剛体的な動きまで模擬できるように改良する。その上で、当該年度に開発した移動標的照射用アタッチメントによる照射精度向上の検証実験を行う。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Integration of a real-time tumor monitoring system into gated proton spot-scanning beam therapy: An initial phantom study using patient tumor trajectory data.2013
Author(s)
Taeko Matsuura, Naoki Miyamoto, Shinichi Shimizu, Yusuke Fujii, Masumi Umezawa, Seishin Takao, Hideaki Nihongi, Chie Toramatsu, Kenneth Sutherland, Ryusuke Suzuki, Masayori Ishikawa, Rumiko Kinoshita, Kenichiro Maeda, Kikuo Umegaki, Hiroki Shirato
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Journal Title
Medical Physics
Volume: 40(7)
Pages: 071729
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Effectiveness of an in-gate beam tracking method in spot-scanning proton therapy2013
Author(s)
T Matsuura, Y Fujii, R Fujimoto, M Umezawa,N Miyamoto, K Sutherland, S Takao, H Nihongi, C Toramatsu, S Shimizu, K Umegaki, H Shirato
Organizer
AAPM 55th annual meeting
Place of Presentation
Indiana Convention Center, Indiana, USA
Year and Date
20130804-20130808
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[Presentation] Improvement of Accuracy of Spot-Scanning Proton Beam Delivery for Liver Tumor by Real-Time Tumor-Monitoring and Gating System: A Simulation Study
Author(s)
Taeko Matsuura, Shinichi Shimizu, Naoki Miyamoto, Seishin Takao, Chie Toramatsu, Hideaki Nihongi, Takahiro Yamada, Yusuke Fujii, Masumi Umezawa, Kikuo Umegaki, Hiroki Shirato
Organizer
AAPM 56th annual meeting
Place of Presentation
Austin Convention Center, Austin, TX, USA