2013 Fiscal Year Research-status Report
超短縮エコー時間磁気共鳴画像の肺評価法の確立と臨床応用
Project/Area Number |
25861052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 智章 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60586874)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺MRI / 換気画像 / 酸素吸入 |
Research Abstract |
1)肺超短縮エコー時間MRI(UTE-MRI)法の撮像パラメータを決める。 健常者12人に対してエコー時間(TE: 0.2, 0.5, 0.8, 1.4, 2.0, 2.6, 3.2ミリ秒)を変えて肺MRIを撮像した。エコー時間は短いものだけでは肺T2*値の変動が大きくなり、 TE 2.6と3.2ミリ秒を含めると肺T2*値は有意に延長した(P<0.05)。肺T2*値は1.5ミリ秒程度であるため、4種類のエコー時間(TE: 0.2, 0.8, 1.4, 2.0ミリ秒)を用いるのが妥当と考えられた。 2)肺 UTE-MRI で得られる肺実質信号およびT2*値が酸素吸入負荷前後で変化するかを調べる。 健常者21人に対して4種類のエコー時間(TE: 0.2, 0.8, 1.4, 2.0ミリ秒)を使用し、肺MRI画像を撮像した。その後、マスクで酸素12リットル/分吸入させてから、再び肺画像を撮像した。TE 0.2, 0.8ミリ秒の時に酸素吸入負荷後でいずれも肺信号の有意な上昇が見られた(1.16倍、1.05倍、P<0.05)。TE 1.4, 2.0ミリ秒時には肺信号の有意な変化はなかった。肺T2*値は安静時1.69ミリ秒、酸素吸入負荷後は1.49ミリ秒と有意に減少した(P<0.05)。酸素吸入負荷後に有害事象は起こらなかった。次に酸素吸入負荷前後で最も信号変化の強かったTE 0.2ミリ秒において評価した。片肺を3カ所に分類し(腹側、中央、背側)、局所の肺信号増強率を比較した。それぞれの酸素吸入増強効果は腹側(1.40倍)、中央(1.36倍)、背側(1.26倍)で、腹側の方が酸素吸入後に有意に増強された(P<0.05)。この結果は仰臥位での換気分布を反映していると推測された。 肺UTE-MRIは安全に施行でき、肺実質信号を有意なものとして取得し、さらに換気画像の可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の目標に概ね沿ったところまで解析できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
3) 肺 UTE-MRI から得られる肺実質信号およびT2*値が肺気腫や肺塞栓患者においてその病態把握に有用であるかどうかを明らかにする。 との目標を立て、現在は呼吸器内科医と連携して、肺気腫患者を対象に肺UTE-MRIが有効かどうかを検討した。 しかし、その際に呼吸器内科医からの指摘により、肺気腫患者に対しての高濃度酸素吸入負荷はリスクが増えるとのことであった。そのため、酸素吸入負荷は見送る代わりに、肺UTE-MRI撮像時に左心および右心機能も同時に評価することにした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費や謝金として計算していた分が少し余ったものの、書類申請時にMRI検査料を計算する時に少なく見積もっていたため、次年度分に意図的に残していた。 肺気腫患者のMRI検査代金として使用予定。その他は書籍代や旅費などに使用予定。
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